日本経済

2017年10月15日

【三橋貴明】道州制

From 三橋貴明

【近況】

先週の続き。

ベーシックインカムの他にも、
表面的にお化粧を施し、
「国民のための政策です」と装っている
グローバリズムの政策があります。

例えば、「道州制」です。

道州制とは日本を複数の道もしくは州に分割し、
現在の都道府県より高い地方自治権を
与える構想になります(北海道のみ、そのまま)。

各道州が、中央政府のコントロールから離れ、
独立した道州として自治を行うのです。

一見、良さそうな政策に思えるかも知れませんが、
道州制構想の基本には「自己責任」
があるという現実を理解しなければなりません。

すなわち、各道州は自らの地域から徴収される
税金のみで行政を提供しなければならないのです。

現在の地方交付税は廃止され、
各道州は全て自前の税収で、
行政サービスの支出を賄うことになります。

つまり、税収が少ない道州は、
十分な交通インフラの整備ができません。

医療、福祉、警察、消防、教育といった
基本サービスも劣化せざるを得ないのです。
(でも、自己責任)

そうなると、住民は間違いなく流出し、
東京を取り込んだ東京州に向かうことになるでしょう。

日本国家「最悪のリスク」である、
東京一極集中がますます進みます。

人口が減った道州は、税金が減るため、
行政サービスの質はひたすら落ちていきます。

すると、人口が流出し、さらなる税収減という
悪循環がどこまでも続くことになります。

要するに、道州制とは地方自治の
「小さな政府版」なのです。

中央から地方に対する支出を減らし、
各自治体に「自己責任」を要求。

負け組の自治体は「潰す」という前提になっており、
国家全体で成長し、安全保障を強化するという
「国家の責務」を放棄する政策です
(そもそも、新自由主義的な小さな政府路線は、
国家責務の放棄的な傾向が強いのです)。

さて、今回の総選挙。

先週取り上げたベーシックインカムと、
今回の道州制の双方を「公約」として
掲げた政党があります。希望の党です。

もっとも、自民党の地方創成策にしても、
各地方自治体に「競争」させ、
勝ち組には地方交付税を厚く配分。

負け組の地方は自己責任で切り捨て
という点で、道州制に近い発想なのですが。

ちなみに、

「(地方間で)競争しろというのか、その通り。
そうすると格差がつくではないか、当たり前だ。
努力した自治体としないところを
一緒にすれば国全体が潰れる」

と発言したのは、
石破茂地方創成担当大臣(2016年当時)でした。

◆いよいよ、と言って構わないでしょう。「財務省亡国論(仮)」改め、小学館「財務省が日本を滅ぼす」が、間もなく刊行になります。
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本書を刊行したことで、三橋のところに国税がやってくることになるわけです。はあ、、、面倒くさいなあ・・・。

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◆時局 11月号 に連載「三橋貴明の経世論 第8回 経済成長の黄金循環(前編)」が掲載されました。
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◆週刊アサヒ芸能 連載 列島報告書 第136「グローバリズムにとってナショナリズムは「邪魔」!」
http://www.asagei.com/

◆週刊実話 連載「三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』」 第242回「デフレと人手不足を同時に解消する」
なお、週刊実話の連載は、以下で(二週遅れで)お読み頂くことが可能です。
http://wjn.jp/article/category/4/

◆有料メルマガ 週刊三橋貴明 Vol436 政府予算における投資と消費
http://www.mag2.com/m/P0007991.html
今回は、一見、消費のように見えて、実は「投資」なのではないかと考えられる不思議な需要。「教育」について考えてみました。

◆メディア出演

10月18日(水) 6時から文化放送「おはよう寺ちゃん活動中」に出演します。
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◆三橋経済塾
10月21日(土)三橋経済塾第六期 第十回対面講義の詳細と申込方法をご案内致します。
http://members6.mitsuhashi-keizaijuku.jp/?p=2127
ゲスト講師は柴山桂大先生(京都大学大学院人間・環境学研究科准教授)

◆チャンネルAJER 更新しました。
今週の更新はありません。

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【三橋貴明】道州制への3件のコメント

  1. 日本第一主義 より

    ベーシックインカムも道州制も基本的に緊縮思想で
    財政問題から来る発想ですね。建前は地方の活性化ですが
    本音は緊縮財政したいというのが行政サービス縮小したいのが
    本音だと思います。そうなったら今以上に地方は疲弊するし
    より人口が多い所に人が集まるでしょう

    返信

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  2. 反孫・フォード より

    >双方を「公約」として掲げた政党があります。希望の党です。
    もっとも、自民党の地方創成策にしても、各地方自治体に「競争」させ、(略)負け組の地方は自己責任で切り捨て

     思うのですが、
    総理のトップダウンで出来る解散が無ければ今のところ、結いの党・・・違う、百合の党(似たもの党の乱立)みたいなモノは出現しなかった筈ですよね。
    どうにもこうにも、コピー政策党を立ち上げることは明らかにズル賢く仕組まれていることを知りながらの解散にしか見ることが出来ないオラの頭がコンクリートなんでしょうね。

    しかし衆議院解散って、いかにも全体主義的に決行出来るんですね。ついこないだ閣僚入りを果たした人達って不満だらけじゃ無いんですかね。
    「総理っ!俺たちゃまだ何にも仕事人らしいことしてませんぜっ!せっかく竹中を闇に葬ろうと思っていたのに!」(んなこと言う政治家は居ない)
    「同じ理念の党と争うなんてっ。やっぱり出馬は辞めて商売に戻りますわ」

     アホなMYコメント失礼しました。

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