アジア

2016年5月19日

【島倉原】グローバル化の夢の跡

From 島倉原(しまくら はじめ)@評論家

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昨日発表の2016年第1四半期のGDP統計は、実質GDP(季節調整値)が前期比0.4%増と、プラス成長に転じました。
しかしながら、家計消費は相変わらずアベノミクス以前を下回る低水準であることに加え、民間企業の設備投資がマイナスに転じるなど、むしろ先行きに不安を残す内容です。
何より下記に示したとおり、国内経済のデフレ実態はより一層悪化しています。
https://twitter.com/sima9ra/status/732929601559662592
http://bit.ly/1V98e6D

さて、先月21日号の拙稿は、「ユニクロのジレンマ」というタイトルでした。
これは、日本経済が長期デフレに苦しむ中でも驚異的に業績を拡大し、海外にも積極的に進出しているユニクロことファーストリテイリングの国内事業不振の要因を分析した上で、

「企業にとっても国内経済活動の活性化こそが重要で、政策原理としてのグローバリズムは合理的な選択肢とは言えない」

という教訓を導き出したものです。
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2016/04/21/shimakura-46/

すると今度は(旧?)日本経済新聞の朝刊1面に、「中国と世界 夢追う国の限界」というタイトルの連載記事が、5月10日から4回にわたって掲載されました。
こちらは、今や世界経済・国際情勢の台風の目となるほど巨大化した中国が節目を迎えている現状を、経済、金融、国際関係など、様々な切り口から報道しています。

その最終回の副題は「北京詣で いつまで」。
13億人という世界最大の市場である中国進出を狙う欧米グローバル企業の動向を描写しつつ、先が読み切れない中国市場の将来について、以下のように結んでいます。

『中国市場をどれだけ公平、透明にするかは、強力な権限を握る党指導部のさじ加減次第だ。一方で、党の支配の及ばない新たな潮流も確実に生まれている。けん引するのは豊かさを増し、好みが多様になった消費者だ。
 29年前、外資のファストフード店としていち早く中国に参入した米ケンタッキー・フライド・チキン。全土で店舗網を5千店以上に拡大し「外資の成功モデル」と呼ばれたが、目の肥えた消費者の壁に突き当たった。
 豊かさの象徴はいまや「わざわざ行きたくない店」(北京の27歳の女性)の代表格に。運営する米ヤム・ブランズは昨年10月、成長のけん引役だった中国事業を切り離し、本体からリスクを分離する決断を迫られた。
 買い物はネット通販で済ませ、友人との割り勘も現金ではなく、スマートフォン(スマホ)の電子決済でやりとりする。価格だけでなく、品質にもこだわる。いまの中国の普通の消費者像だ。中国の市場は世界の予想を超える速度で変わる。「北京詣で」だけでは、その変化を読み切れない。』
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO02341010V10C16A5MM8000/

もともとは先進国の定番ということで、「豊かさの象徴」として人気を博していたはずの商品。
ところが、中国国内が豊かになるにつれて、そうしたありがたみも薄れ、求められる水準も高くなる。
あるいは、「グローバル化=地域内経済活動の活発化」という4月21日号でも述べた構図からすれば、中国独自の消費文化が育ってくるという側面も無視できません。

こうなると、先進国企業にとっての成功のハードルはより一層高くなることでしょう。
上記のケンタッキー・フライド・チキンのケースは、その典型例ではないでしょうか。
この傾向は、もともと一大文明圏の中心である中国ではより一層顕著とも考えられますが、他の新興国においても、多かれ少なかれ当てはまることでしょう。

しかも、そうなった時に先進国企業のお膝元で、国内経済が停滞していたらどうなるでしょう。
自社商品のありがたみが薄れるどころか、いずれはマイナス評価にもつながりかねません。
ファストファッションのブランドとしては、現在中国で一番人気を獲得していると言われているユニクロなども、その例外ではないでしょう。

また、国内経済の停滞による利益成長期待の低下は、現在の日本がそうであるように、商品の改良や新規開発に不可欠な「投資」の停滞をもたらします。
だとすれば、これは単なるブランドイメージの問題にとどまらず、商品の品質競争力にも徐々に悪影響を及ぼしていくことでしょう。
そうなれば、どれくらい先の将来かはともかくとして、

「グローバル 化の尖兵が 夢の跡」

が行き着く先にもなりかねません。
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/34293

というわけで、「グローバル化を志向する企業が海外市場での競争力を維持するためにも、国内経済の活性化が重要である」を今回の教訓ということにしたいと思います。
毎度毎度の結論になりますが、国内経済の活性化に必要なのは、政府が継続的に支出を拡大し、国民全体の所得を増やす積極財政。
その根拠となるお馴染みのグラフをお示しし、本稿を締めくくりたいと思います。
https://twitter.com/sima9ra/status/719076805781512192
http://on.fb.me/1Nbx4P9

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http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-168.html

〈島倉原からのお知らせ〉
「中国の外貨準備高が2カ月連続で増加し、国外への資金流出ペースも鈍化している」という報道を出発点として、中国の金融環境が実際のところどうなのか、統計データをもとに考察しています。
↓「中国金融環境の実態」
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-167.html

オーストラリア準備銀行が5月3日に実施した、過去最低水準への利下げの世界経済への影響について考察しています。
先のことはわかりませんが、今のところは想定した方向に動いているような・・・気がします。
↓「オーストラリア利下げの世界経済へのインパクト」
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-166.html

↓5月21日(土)放送のチャンネル桜「闘論!倒論!討論!」にパネリストとして出演予定です。テーマは「サミット後の世界経済」。是非ご覧ください。
http://www.ch-sakura.jp/topix/1589.html

↓ツイッター/フェイスブックページ/ブログでも情報発信しています。是非ご活用ください。
https://twitter.com/sima9ra
https://www.facebook.com/shimakurahajime
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/

ーーー発行者よりーーー

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【島倉原】グローバル化の夢の跡への1件のコメント

  1. 吹田のおやじ より

    中国は外貨準備高もさることながら金の備蓄も進めており、ロシアも金の備蓄に励んでおり日本の備蓄量のほぼ倍以上の1600tになると宮崎正弘さんのメルマガに書いて有りました。自国通貨の信任のなさを現物の金を大量に保有することで市場での信任はある程度確保出来ると思います。それに引き換え我が日本国は大胆財政出動もなく米国からは為替介入をするのではないかと疑惑をもたれ有効な手を打てないでいます。こういうとき一党独裁のシナは打てる手はドンドンうってくる景気の落ち込んだ現在派手な財政出動をやろうと言ってます。政府はどうしようもないクズでも事カネに関しての立ち回りは日本の三歩先をいっます。元の暴落を緩やかにする為どんな足掻きでもする、世界で一番信用のある円を持ちながらみみっちい財政出動しか出来ない日本は上手なカネの使い方を知らない、自国の値打ちを知らないのと同じでる。

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