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2023年12月12日
【藤井聡】自民党「裏金問題」の本質は未記載という法律違反ではない。企業との癒着による政権与党「腐敗」であり、その追及こそが「特捜部の狙い」であり「有権者の責務」である。
今、世間を騒がせている自民党の各派閥のパーティー収入による裏金問題。これの何が問題かというと第一に、派閥のパーティ券を派閥所属の各議員が売りさばくにあたっての売上げが、派閥の経理でしっかり記録されておらず裏金化しているという点であり、第二に、その裏金の一部が各議員の裏金になっているという点です。
つまり、本来なら、パー券収入が「20万円」を超えていたら記載しなければならないのに、記載していない。この「未記載」が、政治資金規正法の法律違反だ、というので、大騒ぎになっているわけです。
最初にいわれたのが…
・清和政策研究会(安倍派)約1900万円、
・志帥会(二階派)が約900万円、
・平成研究会(茂木派)が約600万円、
・志公会(麻生派)が約400万円、
・宏池政策研究会(岸田派)が約200万円。
というものでしたが、こうした発覚した金額も日増しに拡大しているようです。
ついては、「逮捕者」が出るのは確実だっていうことで、岸田総理も大慌てで「蜥蜴の尻尾切り」を日々、続けています。
特に、安倍派に対する追求が激しく、安倍派の集団指導体制の「五人衆」と言われた、
松野官房長官
萩生田政調会
西村経産大臣
高木国対委員長
世耕参院幹事長
全員が全て、キックバックで裏金を作っていた、ということが報道され、彼ら「全員」が、それぞれの政権要職を「更迭」になる、との見通しです。
また、安倍派の
大野参院議員が5千万円超
池田衆院議員が4千万円超
谷川衆院議員が4千万円超
の裏金をそれぞれ作っていたということも報道されています。
…以上が、今日までの一般的な報道内容をまとめたものです。
多くの国民は、「何だか自民党が凄いワルイコトしてる!」という風にイメージで思っていると思われますが、一体何がどう悪いのか、いまいち、理解していないんではないかと思います。
こういう問題は、「法的」に一体何が問題なのか?という話しと、「道義的」に一体何が問題なのか、という話しを分けて考えないと、事の本質を見誤る事になります。
まず、「法的」に一体何が問題なのかというと、彼らが「政治資金規正法」という法律で定められている「20万円以上の政治献金(この場合はパーティ券収入)を、正式に記載し、万人が見られるようにオープンにしておかねばならない」というルールに違反し、20万円以上の収入があったのに、正式に記載しなかった、という点。
つまり、ただ単に、「記載しているべきものを、記載していなかった」という事が問題となっているのです。
だから、こういう問題は、場合によっては、「記載漏れがありました、僕はちゃんとやれって言ってたのに、秘書が間違えて書かなかったんです…ごめんなさい。だから、きちんと記載するように訂正しておきます」というだけで、お咎めなしになる可能性があるわけです。
というか、そうやって言い逃れし、無罪放免となってきたケースは過去に山ほどあったのです。
どうやら、未記載の金額が2000万円を超える程に大きければ「逮捕」、そうでもなければ、お咎め無し…というような不文律的なルールもあるともしばしば言われます。
ですから、今回の件も、なかなかグレーな話しが多い訳です。
例えば松野官房長官は裏金が「1000万円超」となっていますから、上記の慣行に従うと逮捕にならず、無罪放免となるが、安倍派の大野・池田・谷川氏は4000万円~5000万円なので、逮捕になるんじゃないか…等と言われています。
こう聞くと何が何だか分かりませんが…まぁ逮捕するかどうかは、東京地検の特捜部の判断に委ねることにいたしておく他有りません。
兎に角、我々庶民からしてみれば、2000万以下であろうがそれ以上であろうが、裏金を1000万円以上作ってるってのは事実なんだから、逮捕される人と逮捕されない人がいるっていうのは、釈然としないですよね。なので、「法的」な問題を考えていると、何がいいのか悪いのか分からなくなってくるわけです…。
じゃあ、この問題、法的な問題はさておいて「道義的」な問題として考えたら一体何がワルイ事なのでしょうか?それを一言で言うとそれは
「企業と自民党政治家が、パーティ券購入を巡って癒着し、それによって、政治が、その癒着によって歪められ、日本国民が大被害を受けている」
ということそれ自体なのです。
この点から言うと、200万であろうが1億円出あろうが悪さは同じなのだから、岸田派も安倍派と同じくワルイのだ、と判断すべきだと言うことになります。同様に2000万円以下の松野さんも、4000万円以上貰っている大野・池田・谷川氏も同じだけ悪いんだ、という話しになるわけです。
どういう事かというと…
(後半は下記をご覧下さい)
https://foomii.com/00178/20231212121751117738
追伸1:本記事は、『表現者クライテリオン編集長日記』(https://foomii.com/00178)からの抜粋です。続きは、https://foomii.com/00178/20231212121751117738をご参照下さい。
追伸2:『表現者クライテリオン編集長日記』では、動画公開が困難なレジリエンスフェスティバルでの宮沢先生と当方との「宮沢准教授京大退職問題」についての対話を文字起こしの形で下記にて配信しています。是非ご一読下さい。
『「京都大学・宮沢孝幸准教授の京大退職」についての藤井×宮沢対談の一部、ご紹介します。』
https://foomii.com/00178/20231210224645117673
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