日本経済

2018年9月15日

【竹村公太郎】地球気候変動の歴史

From 竹村公太郎@元国土交通省/日本水フォーラム事務局長

1、地球気候変動

温暖化は確実に進んでいる。

温暖化により気象は狂暴になり、
未来の日本列島に襲いかかってくる。

未来の気象変動を考えるとき、
是非、知っておくことは、
過去の地球全体の気候変動である。

何十万年以上の長期な時間軸で、
地球の気候変動はいかに推移したか。

その地球の気候変動の中で、
日本列島はいかなる状況にあったのか。

この過去の日本の姿は、
未来の日本を考えるうえでの
指針となる。

(図ー1)は地球の34万年間の
気温変動の遷移である。

図を作成した元データは、
2000年(平成12年)に
国立極地研究所の教授に
教えていただいた数値データである。

国立極地研究所が南極の氷床を
ボーリングして得た
酸素同位体組成の数値である。

この数値は当時の大気温を示している。

データが極めて膨大な
数値データだったため、
200年平均値を算出し、
3,000年間の移動平均値を求めた。

この図は、
私たち土木技術者が作業したもので、
地球物理学的な正確さには欠ける。

しかし、地球の長期の気候変動の
傾向は十分理解できる。

2、6,000年前の地球の温暖化

この図では、
2万年前のウイスコンシン氷期や、
6,000年前の縄文前期時代の
温暖化時期が明確に表現されている。

この図によると縄文前期6,000年前の
200年平均気温は現在より2℃高かった。

それは一瞬の値ではなく
200年平均値であることに注意を要する。

縄文前期、海面が数メートル
上昇していたことは地質学的に
実証されている。

海面が数メートル高かった
ということは、
陸上の氷河が融けることと、
海水温が上昇して海水が
膨張することで、
海面が上昇していたことを
意味している。

温暖化の海面上昇で最も大きな
影響を受ける国が、
海に囲まれた島国である。

先進国では英国、オーストラリア
そして日本がある。

この中で最も大きなダメージを
受けるのが日本だ。

何しろ日本の大都会のほとんどが、
海に面した低平地の
沖積平野に位置しているからだ。

3.過去の海面上昇の再現

海面が数メートル上昇していた
日本列島を再現してみた。

(図―2)は21世紀の関東地方の
標高陰影図である。

この海面を5mコンピュータで
上昇させると(図―3)となる。

海面は関東地方の奥深く入り込んでいる。

縄文時代、関東は海の下であった。

いわゆる縄文海進である。

(図―5)の関東地方の
貝塚の分布図でもそのことが
実証されている。

(図―4)は徳川家康が
江戸に入った時代の関東の様子である。

当時、利根川と渡良瀬川は
銚子ではなく、江戸湾に流れ込んでいた。

その当時、地球の大気温は
寒冷化に向かっていて、
海面は低下し、海は沖に後退していた。

かつて海だった江戸湾に、
利根川、渡良瀬川、荒川そして多摩川が
土砂を運び続けていた。

江戸湾は土砂が
堆積した大湿地帯だった。

400年前、徳川家康は
利根川を銚子へ向ける
「利根川東遷工事」に着手した。

利根川と渡良瀬川の洪水が
銚子に向かったことで、
関東平野の乾田化が進み、
日本最大の沖積平野が姿を現していった。

しかし、関東平野が湿地帯だった
ことは変わらず、洪水に脆弱な平野
であることには変わりがない。

海面上昇が進展すれば、
海からの高潮の脅威に
直接に曝されることとなる。

これは関東平野だけではない。

日本列島すべての平野に
共通する危険なのだ。

関東平野以外の例として
(図―6)に弥生時代の大阪を示した。

4、未来の災害

21世紀の現在、
「地球の気候変動」とは「温暖化」
を指している。

私の小学生頃は
「地球の気候変動」は「寒冷化」
を意味していた。

マンガでもSF小説でも
「寒冷化」のストーリーで満載だった。

(図―1)の6,000年前の
縄文海進から現在までの
大気温の傾向を見ると、
地球は寒冷化のトレンドに
あったことが理解できる。

それが現在は温暖化であるという。

寒冷化から一気にV字転換で
温暖化に向かったこととなる。

地球規模の大規模な気候変動が、
短い私の人生時間の中で
発生してしまった。

このようなことは
今でも本当とは信じられない。

地球の温暖化が進展するとき、
日本列島は二つの側面からの
影響を受ける。

一つは「気象の狂暴化」である。

もう一つは「海面上昇」である。

気象の狂暴化は想定外の
豪雨による災害である。

これは日本列島を
山の方から攻めてくる。

海面上昇はじわじわと
何百年間も続いていく災害である。

これは日本列島を海の方から攻めてくる。

次号からは、気象の狂暴化と、
海面上昇に襲われる
日本文明について考察していく。

関連記事

日本経済

【竹村公太郎】宿命の治水:湿地の日本文明

【竹村公太郎】地球気候変動の歴史への5件のコメント

  1. たかゆき より

    地球 温暖化と寒冷化

    それに大きな影響を及ぼすのが
    太陽の活動周期

    はたしてこれから先
    太陽から発せられるエネルギーは

    増加するのか減少するのか??

    その見極めが肝心かと。。。

    二酸化炭素なんぞとか
    地球のゲップなんて 屁みたいなもんだ と

    小生は認識

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

  2. ヒロ より

    地球温暖化にまつわる人間って科学者よりも経済人や官僚政治家の方が多い印象。なぜかビジネス誌で取り上げて否定派の連中は、とやや感情的に批判しているように見える。逆に二酸化炭素=地球温暖化ガスによる地球温室化説には疑問がわいてくる。科学者の間ではまだ議論が続いているから統一的断定的結論が出てきていないのでは。なのに経済人や政治家官僚は先走って一択で気象異常は全部二酸化炭素根源悪と言い切っていると事がね。それで太陽光発電を家庭にとか風力発電はエコだからいいとかセットになって出てくるからうーんといいたくなる。もっと地球環境の変化はそれこそグローバルな要因で検討されるべきでは。それでサンゴの欠片が波で寄せてできた砂浜の砂山のように出来たツバルが沈むのは温暖化のせいだとか言い出されるとねえ。波で削れているだけでは。氷河の減少も数百年前の小氷期に巨大化したものが小さくなったから温暖化が悪いとか。小氷期が終わったら解けるのは当たり前では?それよりも世界中で地震が多いのは地球自転速度の低下による地殻のねじれ現象によるものではと研究する科学者がいない方が問題のような。いまや御用学者の言い分なんぞまともに受ける市民っていないんじゃないのかな

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

  3. komiyet より

    温暖化は確実に進んでいる。って おい!

    あんたは朝日新聞か?

    いい年してまだこの詐欺話を信じているのか?

    インテリは理屈が通っているとコロっと騙される。

    松本智津夫にインテリが騙されたのと同じ。

    宗教は長い間に理屈を積み重ねているので、

    神がいないって程度の知識じゃ理屈で負けてしまう。

    頭がいいと思っている奴は、先のことが分かると

    思っていやがる。

    地球という大きな自然の薄皮一枚の上に住んでいる人間が、

    地球さまの未来が分かるのか?

    金だけ使って、外れても一切責任を取らない。

    地震予知と同じ。

    理屈が通れば金が稼げるって思ってんのか?

    地球温暖化って言葉を聞くと、従軍慰安婦と重なる。

    世界規模のねつ造話なんだよ。

    温暖化は確実に進んでいるって言葉にものすごく腹がった。

    あんたは神か?あんたの感覚が世界基準か?

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

  4. 反孫・フォード より

     温暖化については炭素濃度とかに端を発した情報的なお祭りには懐疑的でした。しかし超スーパーウルトラ期間時代的なスパンには疑いの余地はないと言うしかない気がしてなりません。
    もう熱くなろうが冷たくなろうがどうなってもオカシクはないですよね。私的に思うのはこの太陽系自体が銀河系を螺旋状に回っているだろうことは疑いの余地も無い気がして、そういう動きも超期間に影響しているだろうと思ってしまいます。やっぱり人間は宇宙人工惑星?を造り住み替えていかない限り、今の文明も結局は古代遺跡のように埋まっていくんでしょうね。

    最近思います。ブラ・タモリの番組は結構インフラや土地柄的なことをネタにしている、反・パソナークロー竹中進次ケートの番組で好感が持てますよね。どうして先生がタモリさんと女子のスーパーバイザーとして出演しトリオで司会をして、竹中伊藤南部を懲らしめる番組にしなかったのか不思議でなりません。
    なんてアリエールわけないですよね。田原相違恥郎がいまだに健在なマス‐コミュニケーションですもんね。なんて持ち上げ過ぎでしょうか。
    詰まらないのに水道管を詰まらせるような話しを書いて失礼しました。

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

  5. 今崎 葉子 より

    過去100万年の間に、約8回(10万年に1度)氷期があり、約1万年の間氷期を経て…再び氷期? NHKで 特集されてましたが…それは 太陽と地球の距離が、10万年単位で変わるからだと伝えられていました。…で?今どの辺りなのか?…後退する氷河を追って(動物を追って)…人類は世界に広がったらしいですが、どれぐらいの単位(時間)で、温暖化なのか?…もしくは それを含め、氷期に向かっているのか?…竹村先生 教えて下さい。 Midori sensei より

    返信

    コメントに返信する

    メールアドレスが公開されることはありません。
    * が付いている欄は必須項目です

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。
* が付いている欄は必須項目です

名前

メールアドレス

ウェブサイト

コメント

メルマガ会員登録はこちら

週間ランキング

  1. 1

    1

    【藤井聡】日本はもはや「完全なバカ」なのか? 〜『消費増税を...

  2. 2

    2

    【三橋貴明】移民受け入れ反対論

  3. 3

    3

    【三橋貴明】逆走の安倍政権

  4. 4

    4

    【藤井聡】もはや「クロちゃん」級におバカなニッポン・・・だか...

  5. 5

    5

    【saya】竹中平蔵氏の最先端都市スーパーシティ~企業が国家...

  6. 6

    6

    【竹村公太郎】地球温暖化の足音

  7. 7

    7

    【三橋貴明】「もはや二度と、国民を飢えさせない」という思い

  8. 8

    8

    【三橋貴明】国家を壊し、人間を壊す移民政策

  9. 9

    9

    【小浜逸郎】先生は「働き方改革」の視野の外

  10. 10

    10

    【東田剛】残念なお知らせ

MORE

月間ランキング

  1. 1

    1

    【藤井聡】「10%消費税」が日本経済を破壊する―――そのメカ...

  2. 2

    2

    【藤井聡】日本はもはや「完全なバカ」なのか? 〜『消費増税を...

  3. 3

    3

    【藤井聡】もはや「クロちゃん」級におバカなニッポン・・・だか...

  4. 4

    4

    【藤井聡】「ネオリベ国家ニッポン」から脱却せよ 〜新自由主義...

  5. 5

    5

    【藤井聡】消費増税は「確定」した話ではありません―――今、始...

MORE

最新記事

  1. 日本経済

    【三橋貴明】日本国民は猛毒を飲み込む「完全なバカ」なの...

  2. 日本経済

    【小浜逸郎】先生は「働き方改革」の視野の外

  3. 日本経済

    【藤井聡】日本はもはや「完全なバカ」なのか? 〜『消費...

  4. 政治

    【三橋貴明】「もはや二度と、国民を飢えさせない」という...

  5. 政治

    【三橋貴明】移民受け入れ反対論

  6. 日本経済

    未分類

    【三橋貴明】逆走の安倍政権

  7. 日本経済

    【竹村公太郎】地球温暖化の足音

  8. 政治

    【三橋貴明】国家を壊し、人間を壊す移民政策

  9. 日本経済

    【saya】竹中平蔵氏の最先端都市スーパーシティ~企業...

  10. 日本経済

    【藤井聡】もはや「クロちゃん」級におバカなニッポン・・...

MORE

タグクラウド