FROM 三橋貴明@新宿のオフィス
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今回の社会保障と税の一体改革を巡る自民党と民主党のやり取りを見ていると、
何と言うか戦後の日本の「外交」を思い返してしまいました。
自民党側は、基本的に相手に「誠意」があるという前提の下で発言し、
議論を行い、結論を得ようとするわけです。
過去の自民党外交も、その傾向がありました。
ところが、諸外国の多くは表向きは「誠意は重要だ」などと言いつつ、
裏では国益追求のために「相手の誠意」など平気で踏みにじるわけです。
特に、過去に繰り返し「異民族」「異国民」に侵略され、
何度も民族が入れ替わってしまっている欧州や中国などの国々に、
その傾向が強いと思います(アメリカは相対的にはフェアな方です。あれでも)。
戦後の日本は、冷戦崩壊まではアメリカの核の傘の下におり、
外国と「本気の外交」をやることはありませんでした。
外交や戦争はアメリカに任せ、国内投資と消費拡大、
そして西側諸国との自由貿易で経済成長をすることで、
我が国は世界屈指の豊かさを手に入れることができました。
とはいえ、冷戦崩壊後、アメリカは「グローバリズム」「市場主義」
といったお題目を唱え、露骨なまでに日本の市場開放を要求してきます。
製品や農産物のみならず、サービス(保険など)分野までをも、
日本は市場をアメリカに開放し、自国の保険会社を複数倒産させてしまいました。
二十一世紀に入ってもアメリカ側の「攻勢」は収まらず、
「構造改革」「法令順守(コンプライアンス)」といった美しい言葉と共に、
アメリカ企業にとって都合が良い「社会構造」までもが日本に輸出されてきます。
結果的に、日本国の社会制度はジワジワとアメリカ型(というか、
新古典派経済学者などが喜ぶ形)に変更されてきたわけですが、
現在の日本の外務官僚や経産官僚は、
むしろ「喜んで」アメリカの規制緩和要求(TPPなど)を受け入れようとします。
彼らを「国益を考えない、売国奴」と切り捨てたくなる人は多いと思いますが、
実のところ彼らの多くは売国奴などではなく、
「アメリカの誠意を信じ、本気で日本国のためだと思い、TPPを推進している」
のではないかと考えるわけです。
無論、アメリカ側に「日本への誠意」などはなく、
単に自国のビジネス(グローバル企業)にとって都合が良いと考えているからこそ、
日本に各種の要求をしてきているわけです。
そういう意味で、アメリカのUSTRなどは「アメリカの企業」に対して
誠意を尽くそうとしているわけで、これはある意味で当たり前の態度なのかも知れません。
大陸諸国やアメリカの外交担当者の能力は、日本の比ではありません。
彼らが誠意を尽くすのは「自国(もしくは自国の利害関係者)」に対してのみですが、
それを堂々と公言したりは、もちろんしません。
他国に対しては、「我々はあなた方への誠意を尽くすために、
このようなことを提案しているんですよ」とやってくるわけです。
結局のところ、外交とは国益のぶつかり合いですので、
相手国に「自国への誠意」を求めること自体が間違っているのだと思います。
とはいえ、戦後の日本は常に「相手国の自国への誠意」を信じた外交交渉を続け、
国益を失うことを続けてきました。
今回の自民党と民主党のやり取りを見ていて、
「誠意がない相手との交渉」について、
日本人はいい加減に学ばなければいけないのではないかと、
つくづく思ったわけです。
【三橋貴明】日本が国益を失う理由への1件のコメント
2012年8月14日 10:46 AM
日本国の防衛を米国に依存してきたことが根本原因である。ロシア、朝鮮半島、中国の圧力から自力だけでは守れない、したがって米国のいうことは聞かなければならない。という状況ではないか。 米国から原潜を3隻ほど(核があるかどうか発表する必要はない。
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