From 藤井聡@京都大学大学院教授
昨日、表現者クライテリオンの次号の企画にて石破茂氏と対談いたしました。テーマは民主政治のあり方そのもの、について。総裁選の準備で忙しくしておられる中、小一時間のお時間を頂戴し、現状のお考えも含め、長期的展望も見据えた文字通り「あるべき民主政治」についてのお話しをうかがって参りました。
ところで、当方は、この総裁選における最大の争点はもちろん「消費減税」であると考えています。これまで石破氏には(ならびに、菅官房長官にも岸田政調会長にも)、何度も消費減税の必要性を解説して参りましたが、昨日ももちろん、その話題となりました。
おりしも、石破氏は、「消費減税の検討も必要」と公言しておられます。
https://jp.reuters.com/article/shigeru-ishiba-interview-idJPKBN25R0XR
石破氏と言えばこれまで、消費税は15%にするべきであるとか、安倍総理の消費税延期の判断を批判したりと、消費税について相当に前向きの発言を長年繰り返してこられています。
そのあたりを踏まえつつ、なぜ今回、消費減税の検討の必要性に言及されたのかお話しをお聞きしたところ、やはりこのところの経済の冷え込み、その帰結として低所得者層の暮らしぶりは悲惨なものになっている、そして、その帰結として経済の6割を占める所得が冷え込み、さらに経済の冷え込みをもたらし、税収の下落を導いている―――とお話しされました。
その上で、この現状を打開するには、消費税減税は、当然有効な政策手段であると認識されているようでした。
以上の認識は、誠に正鵠を射たものであり、消費税や経済について「正しい」認識をお持ちの有力政治家が限定的である中、こうした政治家が総裁候補に立候補されたという状況それ自身、大変に喜ばしいことだと認識した次第です。
ただし、同時に前途が多難であることも改めて認識できました。
では、自民党内の雰囲気はいかがでしょうかとお伺いしたところ、石破氏の消費税減税も「検討すべき」と口にしただけでも、自民党の国会議員達から相当な「反発」があるとのこと。
甘利氏や稲田氏、石原氏ら有力議員達は軒並み「消費減税は絶対ダメ」と声高に主張しているというニュースが繰り返されてきましたが、こうした有力議員達は自民党内部に大量にいる「消費減税派は絶対ダメ」議員達の単なる「氷山の一角」に過ぎないわけです。
そもそも今回の総裁選は自民党国会議員達が主体的有権者となる選挙。その有権者達の多くが、「消費減税は絶対ダメ」と主張しているのなら、石破氏のように、「検討する」と口にしただけでも、(派閥の力学を仮に度外視したとしても)大量に得票することが難しくなります。
そうなれば、仮に「正しい」認識を持った候補者が立候補したとしても、その方が総裁になる可能性は絶望的に難しい、ということになるでしょう。
ついては、なぜ、「消費税は絶対ダメ」議員達は消費税に反対しているのかをお聞きしたところ、様々な理由もお話されましたが、当方がその中でもやはり一番深刻だと感じたのが、消費減税を主張することが、「大衆迎合主義」「ポピュリズムである」という認識が自民党内に深く浸透してしまっているから、という点ではないかと感じました。
詳しくは、次号クライテリオンをご覧頂ければと思いますが、一旦このような認識が形成されてしまうと、もはやどの様に説明しても、耳に入らなくなってしまいます。なぜなら、消費税減税は大衆迎合主義・ポピュリズムという「悪」だという事になるからです。
これは丁度、昨今の例で言うなら「自粛緩和=悪」という認識を一旦形成してしまうと何を言っても耳に入らなくなってしまう方々の精神状況と同じ。誠に情けない限りですが、そうなれば(聡明で無い方ならばいざ知らず)どれだけ聡明な方でも、どんな話を耳にしても絶対に「悪=自粛緩和」を認められなくなってしまうのです。
おそらく石破氏も、場合によっては菅氏も、「消費減税」の必要性を真剣に認識しておられ、周りの方に消費減税を説明されてきたのかも知れません。しかし、「消費減税=悪、消費増税=善」の図式を形成してしまった国会議員達は、一切その説明に耳を傾けようとはしないのでしょう。
そういう方々に対してどれだけ説明を尽くしても、まるで宗教か何かにはまってしまった人の様に、
「オマエはどうせ、選挙で人気を取りたいから消費減税なんていう、悪いことを言い出したのだろう!」
という濡れ衣を着せられてしまう他ありません。
そもそも民主主義という政治制度は「デマ」に極端に脆弱な制度なのです。そして増税派の方々はそうした民主主義の弱点を巧みに活用し、消費減税を阻止しようとしているという次第です。
つくづく絶望的な気分に浸ってしまいますが―――希望がないわけではありません。
なぜなら、自民党がそんなデマに踊らされ続けているのなら、その自民党自体を総選挙のタイミングに一気に弱体化させてしまえばいいわけです。
もちろん、次の新しい総裁が消費税凍結や少なくとも5%減税を主張すればその限りではありませんが、長期政権にあぐらをかいて、あまりに国民をなめたコトばかり続けていれば、大きなしっぺ返しを食らわせてやらねばならないわけです。
しかも今、ようやく合流新党においても「消費税ゼロ」も選択肢に入ってきたとも報道されています。
https://t.co/mWnupGfUAK?amp=1
もしもその流れが加速し、野党が消費税ゼロでまとまれば、これから経済は目に見えて悪化していくことは避けがたい情勢にありますから、自民党が頑なに消費税減税を拒み続ける限り、次の総選挙で自民党が大敗する可能性も十二分に考えられるわけです。
もちろん、自民党がそうした自体を恐れ、消費税5%減税やゼロを主張しはじめたとすれば、それは大変に望ましいこと。
―――今はもはや菅総理の誕生が確定的だというようにも報道されていますが、仮にそうなったとしても、総選挙も見据えた展開を見据えれば、「菅総理」が消費税ゼロや減税を決断する可能性は決してゼロではないとも言えるのです。
そのためにも、一人でも多くの国民が(例えば現在の石破氏が消費減税の重要性を認識し始めたように)消費減税の重要性をしっかりと認識し、そういう政治家を応援し、その正反対にいる増税派の政治家達を思いっきり批難しつづけることが今、何よりも求められているのです。
迂遠なようですが、民主主義はこうした契機でしか展開し得ないのです。
「消費税ゼロ」に向けた一人でも多くの国民の皆様型のご協力を、心から祈念したいと思います。
追申:
「消費税減税」をはじめとして、時期総裁候補の皆さんが是非とも理解せねばならないコトを、下記にまとめました。是非、ご一読下さい!
『石破氏・菅氏・岸田氏に今、一番理解して欲しい話 ~緊縮や自粛は必要。でもやり過ぎれば日本は確実に「自滅」します~』
https://t.co/24bXI6Expv?amp=1
【藤井聡】自民党総裁選を支配する「消費減税は単なるポピュリズムだ」というデマへの3件のコメント
2020年9月4日 2:12 PM
きょうも 学校へ行けるのは
税金様の 御陰です。。
と 何も知らない お子たちに
税務署が作文を書かせる前に
税は けっして財源などではない
税は 景気の温度調節をするための ツマミにすぎない
と 小学一年生から
徹底的に叩き込む べき かと、、、
さすれば 日本の未来は 明るい かも
杉作 日本の夜明けは 遠い。。。(たぶん)
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2020年9月5日 12:03 PM
>消費減税は単なるポピュリズムだ
そんな事を言う愚かな人居るんですね 民主主義を歪めてるとしか思わないですし。そんな事言う政治家は選挙で落ちればいいと思います。普段民主主義とか国民の声とか言いながら 民意を全く無視する政治家って何なんだって思います メディアも含めて
民意が消費税減税を望む人が多数だったら消費税減税するのが政治家の仕事でしょう
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2020年9月7日 10:18 AM
ここまでくれば消費税増税もカジノも都構想とかアイヌ問題とかメディアとか皇室問題とかも詰まるところは憲法改正をして弾劾裁判とか外患誘致罪やらプロパガンダ罪など社会撹乱罪などインチキ学者罪などを盛り込み成立させるしかなさそうですね。ところでこまでの高学歴のカス連中には腸が煮えくりかえりますね!
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