政治

2020年2月4日

【室伏謙一】レントシーカーの手口② ― 「改革」推進でビジネスチャンスをつかめ

From 室伏謙一@政策コンサルタント/室伏政策研究室代表

 

 昨日2月3日は節分でしたね。節分とは季節を分けるということ。そして本日は立春です。節分というと最近では恵方巻というイメージの方が強く、デパートやスーパーのみならずコンビニでも普通に見かけるようになりましたが、やはり節分といえば豆撒き。「鬼は外、福は内」の掛け声で豆を撒くわけですが、コロナウィルスを巡る安倍政権の対応、後手後手に回るのみならず、感染が中国全土に広まっていっているにも関わらず、いつまでたっても中国からの渡航制限、中国便の休止等については及び腰。

 やっと措置を講じることとなったと思ったら、①コロナウィルスを感染症法第6条に基づき指定感染症に指定して、感染者を出入国管理及び難民認定法第5条第1項第1号の日本への上陸禁止の対象にするとともに、②同条同項第14号の適用に関し、「当分の間、本邦への上陸の申請日前14日以内に中華人民共和国湖北省における滞在歴がある外国人及び同省において発行された同国旅券を所持する外国人については、特段の事情がない限り、出入国管理及び難民認定法第5条第1項第 14号に該当する外国人であると解するものとする。」とした程度。①についてはどうやって感染を確認するのか不明ですし、②についても湖北省における滞在歴をどうやって確認するのでしょうね。

 ザル、いや底の抜けたバケツとでも言いたくなるような措置。そんな対応の結果、日本国民が外出を控えるようになり、銀座等の都心の繁華街でも人出が減っているのだとか。消費税増税という大失策を進めた結果消費が大幅に落ち込み、頼みとしていたインバウンド消費もコロナウィルス蔓延をきっかけとした中国人観光客の減少で落ち込み、そして後手後手に底抜けバケツの対策で日本国民の消費が更に減少。福の対義語としては禍がありますが、鬼を禍と置き換えれば、今の安倍政権、「福は内、鬼は外」のはずが、福が入って来ずに、禍が入ってきてしまった、そんなところ。まあ自ら招き入れてしまったようなものですが。

 そんな安倍政権下で入ってきてしまった「禍」、当然コロナウィルスだけではありません。その典型がレントシーカー達で、規制改革推進会議を中心に跳梁跋扈するようになりました。特にここ数年は比較的新興のICT企業やICTプラットフォーマーのレントシーカーが増えているようです。勿論、真面目にやっている企業や、理系出身の生粋のエンジニアがやっているような企業については、当然そうした動きはしていないようです。

 さて、彼らのやり口の一つは「改革」を入り口にしたもの。例えば、ICT化を進めれば公務員の数は大幅に減らせるとか、民間企業でICT導入で少人数で業務が進められているのだから行政でも同じことをやるべきとか、そんな荒唐無稽とでも言いたくなるような主張を世間に向けて発信、無垢な若者を中心に「そうだ、そのとおり!」の大合唱をネットを中心に創出、軽薄な経産省の若手官僚らの関心を惹きつけて、ヒアリング→省の研究会等で説明か研究会の委員になってレントシーキングのための持論を展開、関係法令や新たな予算のタマとして押し込み、成立するまでの間に準備し、成立したら刈り取り、そんな流れが想定されます。(その手のことを以前からやり続けてきたさる有名な御仁はおられますが。)

 読者の皆さんなら、「行政と民間企業を一緒にするな」、「そもそも日本は公務員数が少ないのだ」、「災害対応を見ろ、人手不足で現場は回らなかったじゃないか」といった反論が、瞬発力でできるでしょう。しかし多くの国民、特にIT、ITと刷り込まれて、ITがとにかく薔薇色の未来を拓くのだと嘘を吹き込まれてきた若者達からすれば、なんとなく「スゴーイ」話に聞こえてしまうのだと思います。

 当然のことながら、理系出身の生粋のエンジニアや本当にICTのことを分かっている人なら、「ICTのシステムは、システムが何かで止まっても大丈夫なようにしておくことが必要だ」といったことを言うでしょう。(この手の話、理系出身の生粋のエンジニアかつ研究者のような方が設立された企業の方から伺いました。)つまり、完全にICT頼みはダメで、人の組織とICTのシステムは両輪だということであり、あくまでも人の組織の活動を幾分か効率化するためにICTのシステム導入はあるのだということです。

 故西部邁先生が、日本人のことを技術狂、テクノマニアックと書いておられたのを読んだことがあります。その心はと言えば、過度の技術依存、技術信仰が日本人において蔓延しているということ、と私は勝手に解釈していますが、ICTレントシーカー達はまさにそこにつけ込んでいるのでしょうね。

 しかも、ICT導入による効率化は緊縮財政とも親和性があるし、コスト削減を迫りまくる株主、特に外国人投資家というより投機家にとっても配当増につながり都合がいいとくる。

 そしてそして、その手のレントシーカーの先棒を担いでいるのは、以前にもお話しした、元官僚達が多い・・・

 皆さん、ネットで「改革」レントシーキングとも言える活動が見られ、それがウケているようなことがあったら、先ほどのように堂々と反論してくださいね。その反論が、「確かにそうだな・・・」という気づきを産み、「そうだ、そのとおり!」の大合唱をコーラスに、最終的にはデュエット程度に沈静化させることにつながります。結果として日本破壊の一端を止めることができますので。

 レントシーカーの手口には、ホント、注意しましょう!

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【室伏謙一】レントシーカーの手口② ― 「改革」推進でビジネスチャンスをつかめへの3件のコメント

  1. たかゆき より

    ICT成長戦略会議

    成長も戦略も会議も

    胡散臭さ満載 

    それらに横串をさしたら どうなるか、、

    推して知るべし。。

    総務大臣 副大臣 大臣政務官 

    プラス13名の有識者 で 構成とのこと

    どんなに有意義な意識を お持ちなんだか(失礼)

    で なさりたいもの の一つが

    社会実装戦略

    社会実験戦略の 間違いでは??

    善良な小市民をモルモットにして

    金を巻き上げるのか と

    天の邪鬼の小生は邪推して しまう のだ ♪

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  2. ゆう より

    今アメリカでインフルエンザが大流行してしまってるそうですね。8000人以上の死者が出てタダ事ではない状況になってしまってるそうです。アメリカは日本のように国民皆保険制度がないから病院に行きたくても行けない人達が多いでしょうし、ホームレスの住む衛生環境も悪化してしまってるそうで。
    コロナウィルスの報道があまりにも多いからそっちの方に視線が行きがちですが、インフルエンザの方にも警戒しないとヤバいでしょうね。死者数を見たらコロナよりも多いですし。あとハーバード大の博士(中国共産党から金を受け取っていたとか)が中国に生物兵器を持ち込もうとして逮捕されたニュースも出てるから何か裏に隠されてるのではないかと疑ってしまいますね。

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  3. 日本晴れ より

    室伏さんの言う通りネオリベ的な改革に熱狂する人陶酔するのは
    まずいですね。日本は公務員が少なすぎて災害の対応が出来てない不十分になってるのは明らかになってるし 民間と政治を同一視する事自体ナンセンスです

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