政治

2017年8月6日

【三橋貴明】「日本の未来を考える勉強会」消費増税の凍結を提言

From 三橋貴明@ブログ

内閣改造が行われた安倍政権の布陣を見ると、
緊縮財政派がずらりと顔を揃えております。
まさに、財務省内閣の色が濃くなって来たわけでございますね。

この内閣では、当然ながら「デフレ脱却のための財政出動」といった
需要創出策は採られず、かつて財政拡大で
支持率を20%台から50%台に持ち上げた小渕政権の
再来はないでしょう。

それ以前に、この状況で総理が、
「プライマリーバランス黒字化目標を撤回します」
「消費税増税の凍結を検討します」
などと言い出した日には、マスコミから
「財政健全化を無視するのか!」といった総バッシングを受け、
さらに支持率が下がることになると思います。

ともあれ、まともな国会議員たちもおり、
緊縮財政路線を何とか食い止めるべく、動いています。

『消費増税の凍結を提言 自民2回生ら
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS02H4P_S7A800C1PP8000/

自民党の当選2回の衆院議員でつくる「日本の未来を考える勉強会」
(呼びかけ人代表・安藤裕氏)は2日、税率10%への消費増税の凍結を
求める提言を党本部で二階俊博幹事長に提出した。

現行の8%から「5%への減税も視野に議論することが不可欠」と明記した。

二階氏は「こういう提言を積極的にしてほしい」と応じたという。

提言は同党衆院の2回生議員約100人のうち29人の連名。
教育費の負担軽減の財源にする教育国債の発行も要望した。
7月に萩生田光一官房副長官にも提出している。』

【西田昌司】『真アベノミクスを求める要望書』で提言した内容[桜H29/8/1] https://youtu.be/FqrwaZeX2Sw

経世済民こそ、政治家の使命なのである。

と、西田先生が仰っていますが、実は政治家が特定の
産業界、企業家、投資家、あるいは「外国人投資家」の言うがままに
動くようになり、経世済民が忘れ去られるというのは、
近代民主主義初期から起きていた問題なのです。

安倍政権のグローバリズム路線は、日本にとって破壊的な威力を持っています。
ですが、政商、ロビイストたちが経世済民に反した政策を推進することは、
近代民主主義が始まった時点から「人類」が抱えている悩みなのです。

と言いますか、そもそも民主主義は、新興ブルジョア勢力、
がそれまでの勢力(貴族制、絶対王政など)の権益を奪う形で発展しました。

新興ブルジョア勢力が、貴族、王といった「既得権益」を破壊し、
自分たちのビジネスを拡大。
個人の利益拡大のために民主主義が活用されたのです。

民主主義が、その語源であるデモクラティア(民衆の支配)的になったのは、
第一次世界大戦など「総力戦」を経て、全ての国民(男子)を兵士として
徴兵しなければならなくなった時期からなのでございます。

国家のために兵士として徴用されるにも関わらず、選挙権はない。
さすがにこれは、通じなかったのです。

民主主義は、端から多くの欠陥を持った制度なのです。
それでも、これに代わるマシな選択肢もない以上、
欠陥だらけの民主主義の中で何とか事態を改善するべく、
足掻くしかないのでございますよ。

憲法改正についても触れておきます。

安倍政権が本来の三本の矢、
すなわち金融政策、財政政策(の拡大)、成長戦略(という名の技術投資)を推進し、
消費税増税がなければ、今頃我が国のGDPは600兆円を上回り、
高支持率が維持できていました。

もちろん、特定の投資家や企業家、外資を肥やす
「国家戦略特区」等、依怙贔屓の制度も推進してはなりませんが。

もし、安倍政権が本来のデフレ脱却のための
三本の矢「のみ」を推進していれば、今頃、
憲法九条の改正もできたかも知れません。

とはいえ、もう不可能です。

わたくしは憲法九条改正論者ですが、
今の安倍政権が憲法九条を改正しようとすると、
下手をすると国民投票で否決されかねないため、反対します。

一度、九条改憲が否定されると、
最低でも四半世紀はできないでしょう。

否決されても、何度も何度も国民投票を実施するなど、
まさしくナチスと同じになってしまいます。

正しい道は、金融緩和、財政拡大、そしてスパコン、宇宙開発、
再生医療等の技術に政府がおカネを投じる成長戦略と、
2012年の時点であまりにも明らかでした。

ところが、現実には金融緩和、「緊縮財政」、「構造改革」と、
政策パッケージの中身が入れ替わってしまったのです。

最終的には、加計問題という「構造改革特区」(正しくは国家戦略特区)という
依怙贔屓の制度が問題になり、政権に対する不信感が高まり、
支持率が急落。

憲法改正も(少なくとも九条は)不可能になってしまいました。

総理も内閣改造の記者会見で
「構造改革こそがアベノミクスの最大の武器であります」
などと言っているわけで、構造改革路線を継続したまま
レームダック化することになるでしょう。

安倍政権は、失敗した内閣なのです。

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【三橋貴明】「日本の未来を考える勉強会」消費増税の凍結を提言への5件のコメント

  1. 拓三 より

    自衛隊明記を掲げて国民投票したとして負けたらオモロイやんw

    自衛隊の存在自体どうなんの?
    解釈論も否定される可能性は?

    絶対に勝てる定で論議してるお人達を見受けるけど負けた時のリスク考えてはるの? 政党間の力学でしか考えてないけど無党派層が断然多い事を忘れてはるの?国民投票ですよ。

    負けたとして今を維持、もしくは前進できる改憲で勝負しないと『四半世紀改憲ができない』どころじゃないですよ。

    私は断固!2項削除!軍明記を支持します!勝てます!

    勝ったら政治家(緊縮派)が困るけどw(これが政治家の本音)

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  2. たかゆき より

    いつまでも有ると思うな人気と任期 ♪

    総理は嘘つきです
    が、、、
    あんな子供騙しの嘘を見抜けないなら
    騙される方がアホ。。。

    彼の他に誰が居る?とか 戯けたことを 仰る人もおりますが

    それこそ
    なんたら特区を 内閣政府に設けたら いかがかと。。

    大臣やら事務次官やら
    優秀な人材を世界中から募る

    これこそが
    究極の国家戦略特区

    支那共産党員の
    財務大臣が誕生したら
    最高なのだ ♪

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  3. Komiyet より

    テレビをつけると、絶望しか見えない。

    小選挙区制になってからの政治家のサラリーマン化は止まらないですね。誰が大臣になっても絶望しかなく、どんどん国力低下、国民の貧困化、国は国民から搾取することしか考えず、今の権力者に有利な方へ突き進む。

    ルールを作った者が絶対に勝つ。小選挙区制になって、政治家の力が弱まり、党の力が大きくなる。

    もう他人に期待するのをやめて、男は戦うことを選ぶべきだ。

    誰も助けてくれない。国も弱者から搾取することしか考えないんだから、我々もより弱い奴から搾取すればいいんじゃないか?

    そこに男のロマンはないけどな。

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      1. Komiyet より

        追伸

        サラリーマン化とは自分ファーストという意味です。

        小池都知事と同じです。なんでも自分優先。自己顕示欲を満たすことを最大の喜びにしている人をサラリーマンと形容しています。

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  4. tarosuke より

    セルフ妥協してどうすんだyo。

    財政健全性の指標に照らせば「(GDP<債務残高の領域で)消費税は財政健全性に悪影響」なのは自明なんだから廃止以外の主張はないだろうに。

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