欧州

2018年6月15日

【三橋貴明】イタリアの転舵と日本の「最悪の世代」

From 三橋貴明@ブログ

6月1日、イタリアで五つ星運動と
同盟の(事実上の)連立政権である、
法学者のジュゼッペ・コンテ内閣が発足。

内務大臣に同盟党首の
マッテオ・サルビーニ氏、
五つ星運動の
ルイジ・ディ・マイオ氏は産業大臣、
反ユーロで有名なパオロ・サボーナ氏は
欧州担当大臣に就任しました。

元々、パオロ・サボーナ氏は
財務大臣(経済大臣)の予定
だったのですが、
マッタレッラ大統領が反発。

元IMFの緊縮派
カルロ・コッタレッリ氏に
組閣させようとしましたが、失敗。

5月31日に、
コンテ氏とマッタレッラ大統領が
再び会談。

新たな閣僚名簿を提出したコンテ氏を、
大統領が首相として承認したのです。

さて、コンテ内閣ですが、
早くも「移民」問題について
舵を大きく切りました。

もちろん「移民制限」の方向です。

『イタリア新政権、救助の移民の入国拒否
EUで足並み乱れ
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO3171595013062018FF1000/

イタリアの新政権が移民に
強硬な姿勢をみせている。

地中海で救出された移民の入国を拒否、
スペインが急きょ受け入れを表明した。

伊政府はさらに対応を批判したフランスを
「偽善的」と呼ぶなど、
他の欧州連合(EU)加盟国との
衝突も辞さない構えだ。

移民をめぐる各国の
足並みの乱れが表面化し、
EUの結束が試される
事態に発展している。(後略)』

6月10日、地中海のリビア沿岸で
救助された移民629人が乗る
「アクアリウス号」の寄港と
難民の受け入れを、
サルビーニ内務大臣が拒否。

マルタも拒否し、最終的にスペインが、

「人権への責務に基づき、
人道的惨事を防ぎ、
これらの人々に安全な港を提供する
ことは我々の義務である
(スペインのサンチェス首相)」

と、移民受入を決めました。

イタリアのサルビーニ内務大臣は、

「勝利だ! 最初の目的を達成した!」

と、ツイート。

ハンガリー、オーストリア、
そしてイタリア。

「反移民」という、個人的には
真っ当に思われる価値観が政治を動かし、
西へ、西へと「反EU」の動きが
広がってきています。

ハンガリーのオルバン首相は、
イタリア政府の判断について、

「全面的に支持する」

と擁護。

それに対し、フランスのマクロン大統領は、

「現実から目を背けた無責任な対応」

と、猛批判。

イタリアのコンテ首相は、
マクロン発言に対し、

「移民問題から目を背けてきた国の、
偽善的な発言は受け入れられない」

と反発。

移民問題がEUに
遠心力として働いています。

難民はともかく、イタリアに
流入しているのは経済移民です。

イタリアに職を求め、
サハラ以南のブラック・アフリカの
人々がリビアから地中海を渡ってるのです。

移民を受け入れるか否かは、
それこそ「主権」の問題であり、
イタリア国民は3月の総選挙で
「反移民」の五つ星運動と
同盟を選んだわけです。

サルビーニ内務大臣らは「公約通り」に
アフリカから流入する移民を
制限しようとしています。

それにも関わらず、
「無責任な対応」と批判される。

グローバリズムの欺瞞です。

マクロン大統領は、イタリア政府が
「公約に反し」移民受入を続ける方が
望ましいとでも思っているのでしょうか。

さて、世界的に(主に先進国で)
移民に対する反発が高まっている中、
我が国は「国策」として
移民受入に動いています。

国民の多くが欧州で
「何が起きているか」を知り、
この流れを食い止める必要があります。

自由民主党が「移民党」であるのは、
紛れもない事実なのです。

移民政策を続けた結果、
欧州のようにナショナリズムが壊れ、
人々が争い、外国人犯罪が増え、
ただでさえ下がり続ける
実質賃金の下落ペースが高まり、
国民が貧困化することについて、

「お前たちはどう責任をとるんだ!」

と、国会議員たちを
問い詰める必要があります。

今、移民受入を決めた政治家たちは、
移民問題が日本国を壊した時点では
引退しているか、
この世を去っているでしょう。

あるいは、政治家を続けていたとしても、
責任を取る気などありません。

今、「票」という武器を使い追い詰め、
移民政策を転換させる必要があります。

さもなければ、我々は「日本国」を
残せなかった最悪の世代として、
将来の「日本列島の住民」から
呪われることになるでしょう。

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【三橋貴明】イタリアの転舵と日本の「最悪の世代」への5件のコメント

  1. たかゆき より

    転舵

    今のままの 取舵一杯では 座礁するのが火を見るより 明らか

    なので 面舵に切ると
    極右やら 人非人やらと 非難囂々

    モノには限度というものがあるでせうし 奴隷を収容するにも積載要領がございませうに、、

    国家という名の 奴隷船

    それを転覆座礁させるのが 快感とか あるいは 
    奴隷を積めば積むほどお財布が重くなる奴隷商人でも いるのか しら。。。

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  2. 利根川 より

     現代版奴隷制度として国内外から高い評価を受けている(=悪名高いと言う意味で)外国人技能実習制度ですが、昨年、法務省によって技能実習生の失踪が5803人と過去最多となった事が発表されていました。(朝日デジタル2017/12/13日記事より)
     既にご存知のように、一部を除き、主として日本国民に人気のない分野=過酷な労働分野に外国人労働者が投入されているのが現状です。
     少し古い記事ですが、産経ニュースにこの様な記事が載っていました。

    「日本の印象良かった」97%→来日後58%に激減 ベトナム人技能実習生調査 

     技能実習に来て日本の印象が悪化-。外国人技能実習制度に参加するベトナム人を対象にしたアンケートで、こんな結果が出た。
     劣悪な生活環境や低賃金労働などが背景とみられ、調査した龍谷大(本部・京都市)のベトナム人留学生、グエン・ヒュー・クィーさん(27)は「多くが日本に悪い印象を持ったまま帰国しており、両国関係に深刻な影響を与えている」と指摘している。
     この様な事を続けていれば、いずれは外交にもマイナスの影響が出る事が予想されます。
     そもそも、なぜ外国人を連れてきて働かせると言った発想になっているのかと言えば、人手不足だから(その様に報道されている)らしい。
     では、なぜ人手不足になっているのかというと、2017年に政府が発表した2017年度版「経済財政白書」の一部にヒントがあるように思う。

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      1. 利根川 より

         長期間経済が停滞しているとはいえ、先人たちが積み上げてくれた貯金はすさまじいらしく、TVなどでも日本の最新技術のすばらしさがよく紹介されています。
         サイバー攻撃対策/セキュリティー、そういった問題はあるものの、最新のAI技術やIoTを導入すると相当な時短が実現できるように思います。
         
        「第四次産業革命」

        その様に呼ばれることもあるようですが、その産業革命に日本は断トツで後れを取っているそうです。
         経済財政白書によると

        日本の大企業でAIを導入しているのは4.3%、IoTを導入しているのは10.9%だった。
        中小企業ではAIは0.4%、IoTは2.8%なので中小企業ではほとんど導入が進んでいない。

        との事で、最新技術については実はあまり導入されていないのが現状。
         ここ20年間の企業の設備投資額(国内)をみると、実はほとんど増えていない(名目値)
         要は、壊れた機械や古くなったロボットの買い替えといった”最低限の投資”はしているのかもしれないが、本格的な投資はしていないのだ。
         

        最新技術を導入する事なく、古い機械に囲まれて「仕事が捗らない、人手不足だ」とぼやいているのが日本

        という事なのではないでしょうか。

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        1. 利根川 より

           先ごろ、大手金融機関が事務作業の自動化やデジタル化により業務効率の改善を行う事で
           
          MUFG 「23年度までに9,500人相当の労働量の削減する方針」
          三井住友FG 「20年度までに4,000人を事業部門へ再配置」
          みずほFG 「2021年度に8,000人分、26年度までに1万9,000人分の業務量を削減」

          といった事を発表していました。
           平成29年度版「労働経済の分析」(厚労省)によると、AI技術の導入を促進することで2030年までに161万人就業者を減らす事ができるとのこと。
           それでもなお64万人分の労働力が不足する見込みだとの事ですが、

          人手不足の解消の為に”まず取り組むべきは”外国人を労働力扱いする事ではなく設備投資(最新技術の導入)

          なのではないでしょうか。
           酷い条件で働かされる外国人も得をしませんし、外国人労働者が投入されることで、その分野の賃金・労働環境が劣悪なままになってしまうのは日本国民としても損です。
           外国人を労働力扱いする失礼な行いは、まさに誰も得をしない政策といえるのではないでしょうか。

           人手不足が緩和されたときに、真っ先に首を切られるのが単純労働分野です。
           そういった分野に投入されているのが外国人労働者なのですが、はたして大丈夫なのでしょうか。
           高度経済成長期・バブル期と人手が足りないと言った事で経済界の後押しもあってブラジルの方々に労働者として日本に来てもらっていた時期がありました。
           その後、景気が悪化した後

          経済界「景気が悪くなって人を雇っていられなくなった。後の事は税金でなんとかしといて」

          大阪府「アイエエエ。じゃあ、帰国費用は税金で賄いますので、失業してしまったかたについては帰国していただくということで…」

          この様な事が平然と行われていたのですが、またこのパターンなのでしょうか。
           長期にわたるデフレ不況と四半期決算という超超短期で成果を出す事を強要されている今の民間企業にできる事はコストカットしかない事でしょう。
           設備投資せよといわれても、そのような状況下では「出来ないから、していない」のであって、だからこその安い労働力=外国人なのだと思います。
           民間に問題を丸投げするのではなく、まずは国が投資に踏み切っていただきたい。

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          1. 利根川 より

             外国人を安い労働力扱いしているのは日本だけではありません。日本を批判するヨーロッパの国々にしても同じです。
             外国人労働者を大量投入した結果、凄惨なテロも起きてしまいました。
             テロは無差別に行われるもので、その国に生きる外国人も標的になります。
             その国の国民だけでなく、その国で生活する外国人をも守らんとするのならば、嫌われ役を買ってでもある程度移民の流入は制限するべきだと思います。
             テロにスパイに奴隷労働 ”大々的な移民受け入れ” などと国がやった結果がこれです。
             そういった事に目をつぶって自分だけ「私は移民受け入れに反対しない良い人です」とやるのはマクロンさん、ズルいのでは
             外国人を安く働かせて、利益を稼ぎ、グローバルですといって国の敷居をさげて課税逃れ。
             パマナ文書でも明らかになりましたが、あの文書に名を連ねていた者達の中に世界の政治家達の親族の名前がぎっしり載っていたのはご存知の通り。

             正直な所、政治家の口からグローバルという言葉が出ると嫌な予感しかしなくなりました。

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