政治

日本経済

2020年9月28日

【三橋貴明】全ての構造改革は他人事ではない

【今週のNewsピックアップ】

菅政権の中小企業政策の狂気(前編)
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12627124290.html

菅政権の中小企業政策の狂気(後編)
https://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/entry-12627355132.html

あらゆる構造改革がそうですが、
「自分とは関係ない」は、最終的には通じません。

例えば、農協が潰され、
日本の食料安全保障が崩壊すると、
「全ての国民」が安全で安価な食料を
手に入れることが不可能になります。

(まあ、富裕層は自分たちだけは
 「安全な食料」を入手するルートを
 構築するのでしょうけれども)

あるいは、「公務員は多すぎる! 
給与も高すぎる!」といった煽りに
国民が乗っかり、実際に公務員数や
公務員給与が減らされると
(減らされました)、貴方が生産している
財やサービスが買われなくなります。

他人の足を引っ張り、所得を減らすと、
自分の所得までもが減ることになるのですよ。

国民経済は繋がっている。

というわけで、菅政権の中小企業「改革」は、
全ての国民にとって他人事ではないのです。

貴方が、
「自分の会社は対象外」
と思っており、たとえそれが
事実であったとしても、
貴方の会社の取引先が潰されるかもしれない。

あるいは、取引先の取引先が潰され、
取引先が危機に陥った結果、
貴方の会社の利益を直撃するかも知れない。

既存の調達先が潰され、
品質が悪く高い会社からの調達を強いられ、
コストが上昇するかも知れない。

貴方の顧客が働く会社が潰され、
貴方の会社が生産する
財やサービスが買われなくなるかも知れない。

さらに言えば、自分の地元の中核企業が潰され、
地域が荒れていくかも知れない。

地元の経済が衰退し、
さらなる人口減になるかも知れない。

国民経済は繋がっている。

国民が連帯し、「全ての企業を守る」の
精神で政治に声を出さない限り、
菅政権による中小企業「再編」という名の
「淘汰」は止められないでしょう。

現在、菅政権は中小企業基本法の改訂に
取り掛かっています。

中小企業の定義を見直し、枠を狭め、
中小企業ではなくなった企業に「規模拡大」を
強いるという考え方ですが、これは憲法違反です。

何しろ、中小企業の定義がどうであろうとも、
規模の拡大に動く、動かないは、
我々経営者の勝手なのです。

それにも関わらず、
規模拡大を強制する政策は、
憲法で保障された経済的自由権の侵害に該当します。

さらには、政府の役割は、
企業が中小企業の定義から
外れることになったとしても、

規模拡大に動く「魅力的、安定的、
継続的に拡大する需要」を創り出すことなのです。

デフレである以上、
政府は財政拡大で需要創出をする必要が
ありますが、それを完全に怠っている。

菅政権は、デービッド・アトキンソンの
サプライサイド政策を丸パクリしているため、

「日本の中小企業は、中小企業基本法を始め、
 各種の規制に保護されているから、
 生産性向上の投資をしない。

 ならば、中小企業基本法を改訂し、
 保護を奪い取り、最低賃金を強制的に
 引き上げれば、潰れるべき企業が潰れ、
 国民の実質賃金は上向く」

と、デフレを放置している政府の責任から
目をそらさせ、中小企業を悪者にする
レトリックで「再編」を仕掛けてくるでしょう。

事実は、
「日本の中小企業は、デフレという需要不足
 (市場不足、仕事不足)であるが故に、
 生産性向上の投資をしない。

 企業の生産性が伸び悩む結果、
 国民の実質賃金は低迷している」
です。

デフレを無視し、中小企業を悪者に
仕立て上げるレトリックに引っ掛からないでください。

繰り返しますが、
国民経済が繋がっている以上、
全ての構造改革は「他人事」ではないのです。

◆『saya オータムライブ
 @横浜馬車道パラダイスカフェ』 

 sayaさんのライブがようやく復活です。
 https://twitter.com/sayaohgi/status/1309500566339383298

◆「日本をダメにした財務省と
 経団連の欺瞞(小学館)」が刊行になりました。
 https://amzn.to/38q1LPW

◆「自民党の消滅(ベストセラーズ)」
 (書籍版)が刊行になりました。
 https://amzn.to/3dEIFqS

◆週刊実話 連載
 「三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』」 
 第386回 危険な菅政権の中小企業改革

 なお、週刊実話の連載は、
 以下で(二週遅れで)お読み頂くことが可能です。
 https://npn.co.jp/category/society

◆メルマガ 週刊三橋貴明
  Vol592 国富と貨幣
 http://www.mag2.com/m/P0007991.html

 貨幣とは「債務と債権の記録」であるため、
 国家全体で見ると資産と負債が
 相殺され消滅し、国富にはなりません。
 ならば、国富とは何なのか?

◆メディア出演

三橋TV、続々公開中です。

真・国家論 
なぜ我々は財政破綻論を
払拭することができないのか?
[三橋TV第291回]
https://youtu.be/7aMRQUpGKm0

不気味な自己陶酔型
マゾヒズム政治から脱却しよう!
[三橋TV第292回] https://youtu.be/br2OfyYxmpc

菅総理のブレーン 
国際金融資本の代理人デービッド・アトキンソン
[三橋TV第293回] https://youtu.be/ncuzZ_W-6_Q

特別コンテンツ、続々配信。

9割の大阪市民が騙されている?
TVが絶対に報じない大阪都構想の闇 
(三橋貴明×藤井聡)
https://youtu.be/oedrFrdfGIs

経済学者 土居〇朗の統計の嘘を証明してみた
https://youtu.be/Xdw_04Nep4Y

消費増税が貧乏人に残酷な理由(三橋貴明)
https://youtu.be/YfRpGNBaRKk

9月19日 チャンネル桜
「日本よ、今…「闘論!倒論!討論!」」に出演しました。

【討論】菅政権誕生と日本の行方
/ 社会主義の可能性はあるか?[桜R2/9/19] https://youtu.be/H44bvJPxIiY

10月2日 チャンネル桜
「Front Japan 桜」に出演します。
http://www.ch-sakura.jp/programs/program-info.html?id=1651

◆三橋経済塾

9月19日(土)開催 三橋経済塾第九期 
第九回対面講義を配信致しました
https://members9.mitsuhashi-keizaijuku.jp/?p=1244

ゲスト講師は河添恵子先生
(ノンフィクション作家)でした。

インターネット受講の皆様、
お待たせいたしました。

※ご入塾は以下から。
https://members9.mitsuhashi-keizaijuku.jp/

◆チャンネルAJER 
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【三橋貴明】全ての構造改革は他人事ではないへの6件のコメント

  1. タカッキー より

    お上は少数の目立つ者のことばかり聞きやがって、大多数の声なき声を聴いていない。お坊ちゃま上がりではない限り、そのくらいのことは分かっているはずだ。

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  2. TEaD より

    政権がやろうとしていることが「選別」である。
    そしてそれは、政府がしてはならないことである。

    だからこそ、これを「拒絶」しなければならない。
    菅首相は、拒絶されることを恐れていると聞く。
    「財政拡大と消費税廃止をしないならば、政権運営を認めない」と彼の耳に「直接」届ける必要があろう。

    ハンコ廃止の件も、廃止してもたらされるメリットの説明なし。
    これでは、それ自体が目的と化している節さえあって、到底受け入れられるものではない。

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  3. 大和魂 より

    国際社会の仕組みは詰まる処、搾取なんですね。それだからあらゆることに話題を振りまきプロパガンダを仕掛けて搾取される側の判断を意図的に鈍くしている構図なのですね。またそれはあらゆる方法も意図的に変化させながらでも搾取する構造だから明確に詐欺と同じなんです。だから低次元の小泉純一郎とか竹中平蔵とかアトキンソンとか橋下徹やら松井一郎やら百田尚樹やら飯島勲などがどうしようが関係なくあらゆる状況を作りだして碌でなしが碌でなしを集めて繰り返すのです!だから要するにコロコロと都合のよい碌でなしの主流メディアを追放して日本国民の生命と財産を死守するべきなのです。そのために大阪の柳本さんも北野さんも野村さんも安倍とか菅とか以上に大和魂の気力を尽くされている訳なのよ!

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  4. 利根川 より

     現代社会はとても複雑です。どこで何がどういった形でつながっているのか、義務教育を一通り受けただけの者には分かりにくいものがあります。だから、色々な法案が国民の知らない所で続々と通っていっても大半の国民は「自分には関係のない法案」としてスルーしていくわけですね。でも、実際には

    「自分に関係のないこと」ではなく、「自分に関係があること」を理解できていないだけ

    なのですよね。国政に関わることで国民に関係がない事などないわけでね。だからこそ、丁寧に議論を重ねなければいけないわけですが、小泉竹中政権以降、ずっと「改革です、規制緩和です、こんな無駄なもの要らない」と乱暴な政治が行われてきたし、国民もそれを支持してしまった。

    「保健所多すぎ、こんなに要らんやろ」→感染症対策を実際に行う保健所が半分に減らされたことでコロナ対応で現場の負担が増えた
     
    「ダムは無駄。無駄は削減」→ダムが建設されなかったことで洪水発生

    あげれば切りがありませんが、「こんな物、要らない」と蹴り飛ばした石が全て自分に跳ね返ってきている様はなんとも滑稽です。それを主導しているのが人の何倍も勉強して努力を続けてきたエリート達だというところも笑えるポイントですね(もはや笑うしかない)
     私がこうして世の中の複雑さを何も理解できていないことを理解できたのは、10年以上地道な情報発信を続けてくれた三橋さんや中野さんのような論壇の努力の成果かとおもいます。
     結局は、国民が知ることと時間の経過がものをいうのかもしれません。まあ、安藤裕議員の試算によると、このペースで日本のGDP成長率が下がっていくと、40年後には日本が占める世界のGDPシェアの割合は2%台にまで落ち込むそうですけどね。

    アジアの片隅の貧国に凋落ですか?

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      1. 利根川 より

         ところで、本日の記事とは全く関係のないことで恐縮ですが、外国人の受け入れを再開するそうで…
         ちょっと前のデータですが、、人口100万人あたりの死者数(2020年9月17時点)をみると

        ブラジル  630.9人
        イギリス  614.0人
        アメリカ  594.6人
        イタリア  589.55人
        メキシコ  558.56人
        フランス  558.3人
        南アフリカ 264.8人
        アルゼンチン263.5人
        カナダ   243.6人
        ロシア   129.6人
        サウジ   125.5人
        世界    120.8人
        ドイツ   111.8人
        トルコ    86.0人
        インド    60.3人
        インドネシア 33.3人
        オーストラリア32.3人
        日本     11.6人
        韓国      7.3人
        中国      3.3人

        となっていて、なぜか日本は新型コロナウイルス感染での死者数が他に比べて少なく済んでいるわけですが、海外では猛威を振るっているようです。
         外国人は日本人にくらべて重症化しやすい可能性があるわけですが、

        「コロナ対応にばかり気を取られて他の病気で死ぬ」

        とか意味不明な状況も発生してしまっている日本で、外からやってきた外国人が大量に重症化してしまった場合のことは考えているのでしょうか。
         思い返せばインバウンドとかクルーズ船招致とか、

        「緊縮政策で国民を締め上げる代わりに外国人を呼んでお金をもらってください」

        という話だったわけですが、日本の安全保障も招いた外国人の安全もなにも考慮はされていませんでした。とにかく、外人から金貰えってだけの話だった。
         実際、ダイアモンドプリンセスで新型コロナウイルスが流行った時も日本政府は十分な対応を取ることができずに

        SNS「トランプ大統領は我々アメリカ国民を助けに来るべき」

        と乗客にSOSまでやられて、結局、アメリカは政府専用機でダイアモンドプリンセス号に乗船していたアメリカ人を救出に来ることになってしまった。
         医療現場は「だいぶ慣れた」そうですが、新型コロナウイルスに弱い可能性のある外国人を大量に入れて重症化した場合、それらに対応できるほどの余裕はあるのでしょうか。
         ちょっとね、外国に寄りかかった(もたれかかった)経済って不安定というか脆すぎると思うの。

        返信

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  5. チキン より

    中小企業が投資しない理由…
    どうでしょう、もうすでに投資できる余力がない会社も多いかと…
    まあ、それも需要が増え、利益が望める未来があれば借り入れして投資する本来の循環がということになるのでしょうが…

    とはいえ、将来見通しが明るいとしても、ある一定の手元資金とかの余裕がないと借り入れて設備投資には踏み切らないかと思いますね…
    特にデフレマインド、不良資産がしみ込んだ日本の経営者(=大半の経営者)は…

    返信

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