日本経済

2018年8月9日

【三橋貴明】ILC(国際リニアコライダー)の二つの意義

「ILC(国際リニアコライダー)の二つの意義」
From 三橋貴明@ブログ

8月5日、ILCに関連した
ノーベル物理学者である
シェルドン・グラショー博士と
バリー・バリッシュ博士をお招きし、
ILCシンポジウムが
大々的に開催されました。

『<ILC>ノーベル賞の米国人研究者2氏、
施設の必要性強調
東京でシンポ1000人参加
https://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201808/20180806_73066.html

岩手、宮城両県にまたがる
北上山地が建設候補地の超大型加速器
「国際リニアコライダー」(ILC)
構想について、ノーベル物理学賞
受賞の米国人研究者2人が意義を
語るシンポジウムが5日、
東京都文京区のお茶の水女子大であった。

研究機関など約20の組織でつくる
「ILC推進プロジェクト」が主催。

約1000人が参加した。

講師を務めたのは物理学の
標準理論の進展で1979年に
受賞したシェルドン・グラショー氏(85)
と、重力波初観測への貢献で2017年に
受賞したバリー・バリッシュ氏(82)。

ILC国際共同設計チームの
責任者も務めたバリッシュ氏は

「ILCは標準理論を探究する
国際プロジェクト。

世界中からさまざまな技術や
専門知識が集まる」

と指摘。

グラショー氏は

「数十年にわたり素粒子物理学の
中心となる実験施設だ」

と必要性を訴えた。

ILC構想を巡っては、文部科学省が
誘致の可否の判断材料にするため
日本学術会議に検討を依頼。

近く審議が始まる。』

実は、わたくしはシンポジウムの翌日、
チャンネル桜の収録で
両博士にインタビューをしております。

インタビューの映像は、
恐らく8月末から9月頭には
放映できると思います。

「CERNのLHC開発に際しては
グリッドをはじめとする
様々な技術が生まれたが、
日本のILC建設も
技術進歩に影響を与えるか?」

といった、核心を突いた
質問をしておりますので、
お待ちくださいませ。

わたくしは、日本がILCを開発、
建設する意義は、大きく二つ
あると考えています。

一つ目は、
「結果が確実に出ない
かもしれないプロジェクト」
であっても、人類の進化に
影響する可能性があるならば、
果敢に投資するという
姿勢を取り戻すことです。

最近の安倍政権や
自民党の政治家に顕著な、

「選択し、集中して投資する」

は、企業の経営戦略としては
間違っていません。

とはいえ、国家の政策としては、
「完璧に」「間違いなく」
「徹底的に」間違っているのですよ。

なぜならば、政府は「国民」を
見捨ててはならないためです。

この理屈がわからない国会議員は、
全員、政治家を辞めるべきです。

向いていません。

例えば、何らかの障害により、
平時は他者のために
貢献できない人がいるかも知れません。

そういう人を見捨てていいのですか?

人権云々で「そんなことはいけない」
と、倫理的に答えるのは簡単です。

とはいえ、それ以上に
重要で決定的なのは、
大戦争や大震災といった
非常事態が発生した際には、
「その人」が我々を助けてくれる
かも知れないためです。

いざというときは、国民の
「助け合い」の一助になる
可能性がある時点で、
政府は特定国民を
見捨ててはならないのです。

もちろん「特定地方」も同じです。

それ以前の話として、政府が
「国民の政府」である以上、
特定の国民、特定の地方、
特定の産業を「滅ぶに任せる」
などとやってはならないのです。

そんなことは「常識」だと思うのですが、
この常識に思いっきり
逆らっているのが安倍政権であり、
特定の政治家です。

ILC建設は、この狂った
「選択と集中」思想を
吹き飛ばします。

二つ目。

これはバリッシュ博士が
太鼓判を押してくださったのですが、
ILC建設は様々な
「派生技術」を生み出します。

日本に技術的ブレイクスルーを
引き起こす可能性が濃厚なのです。

何度も書いていますが、
技術とは「需要」なしでは
発展しません。

そして、ILC建設(および運用)は、
日本の技術ブレイクスルーを
もたらすに十分な「需要」なのです。

日本は、将来の繁栄を望むならば、
ILCの誘致を早期に
決定しなければなりません。

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【三橋貴明】ILC(国際リニアコライダー)の二つの意義への1件のコメント

  1. たかゆき より

    ILC is marvelous

    一粒で二度 美味しい ♪

    ゼニかね ゼニかね って 守銭奴でもあるまいに、、、
    (もしかして守銭奴?)

    人類の文明に貢献できるなら カネなんか心配するな 俺に任せろ って 言いますよ

    小生が大臣さまなら(たぶん)。。。

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