日本経済

2018年5月16日

【藤井聡】日本最強の提言書  〜「財政再建」のための、消費増税とPB目標の「撤回」を求める与党提言〜

From 藤井聡@京都大学大学院教授

こんにちは、京都大学、内閣官房参与の藤井聡です。

この度、自由民主党の「日本の未来を考える会」が、
今日のあまりにも酷いマクロ経済状況を憂い
官邸と自民党幹部に対して
「消費増税凍結」「PB目標撤回」を求める
提言書をとりまとめました、
という事は以前、お話差し上げた通りですが・・・
https://38news.jp/politics/11890

この度、この提言をとりまとめた呼びかけ人の
安藤裕・衆議院議員(代表)
石川昭政・衆議院議員
中村裕之・衆議院議員
のお三方が中心となった記者会見を開かれました。

その当日の様子は、下記動画でご覧頂けますし、

youtube:https://www.youtube.com/watch?v=7OLxF5jZOBw

ニコ動画:http://www.nicovideo.jp/watch/sm33199294

提言書は、下記よりご覧頂けます。
https://www.andouhiroshi.jp/wp/wp-content/uploads/2018/05/62e04b2beb720db169bf64ec9d395bef.pdf

この提言の内容、お時間おありでしたら、是非、
じっくりお読み頂ければと思いますが、
その最大のポイントは、

(1)財政再建のために
(2)「消費増税凍結」と
(3)「プライマリーバランス黒字化目標撤回」を求める

というもの。

おおよその国内の学者達、エコノミスト達、政治家達は皆、

「財政再建のために、消費増税とプライマリーバランス黒字化目標を!」

と、安藤先生達とは「全く逆」の主張を
ヒステリックに叫び続けている訳ですが、
そんな主張は、
完全に間違いであり、デマであり、ウソなのだということを、
安藤先生達は声高らかに宣言しておられるわけです。

しかも、その提言は、
単なるいい加減な思いつきや無根拠な詭弁でも何でも無く、
誰も反論できない的確な理論的、実証的な「根拠」
に基づいたものとなっています。

それもそのはず、
この提言は(当方はさておき)、
評論家の三橋貴明さんや中野剛志さん、
エコノミストの島倉 さんや会田卓司さん、
そして、経済学者の青木泰樹教授や、経済記者の田村秀男さん等、
客観的なデータと実践理論に基づいて
経済政策について論じ続けている論者達の意見を何度も聴取し、
まとめられたものだからです。

いわばこの提言書は、
現在日本で考えられる
  「日本最強の提言書」
といって、過言ではなきものとなっているわけです。

例えば、提言書の図1~図6を見れば、
「14年の消費増税で、
所得も消費も物価もGDPも投資も景況も皆、
一気に低迷・停滞した」
のが一目瞭然です。

さらには、図8、9によれば、
97年増税によって日本経済が如何にダメになり、
結果、赤字国債が一気に20兆円規模で増えてしまった」
ことも明瞭に見えて来ます

そしてそんな消費増税を中心とした
「緊縮財政のせいで、
日本が世界最悪かつ、唯一の衰退途上国になった」
ことが、図12~14から明晰に示されています

しかも、図7~9を見れば、
「消費増税なんてしなかった方が総税収がより多かった」
可能性が明確に示されています

さらには
「消費税10%」になった途端、
さらに大きく消費が低迷する
であろうことが図18より示されています。

これだけ見ればもう、
財政再建のためには10%消費増税の凍結
ないしは減税が不可欠、
であることは明白だと、
言うことができるでしょう。

以上に加えて、
図15~17のデータの分析に基づけば、
PBの改善は財政再建に結びつくどころかむしろ「悪化」
させた方が多かったということも分かります。

このことはつまり、
「財政再建のためにも、PB目標撤廃が必須」
であることを意味しています。

・・・・ということで、要するにこの「提言」は、
イメージは思い込み、
空気や雰囲気や「忖度」とは程遠い
冷静な理性的考察に基づいて
まとめられたものなのです!

それもそのはず、
そもそもその「とりまとめ」の動機は、
純粋に「ニッポンの未来を慮る」という一点にあるのです。

実際、この提言の冒頭には、次のような言葉が綴られています。

「日本の未来を考える勉強会」は、
昨年 4 月以来、失われた20 年を招いた経済政策について、
先入観を持たずに、
真に必要な経済政策を提言すべく議論を重ねてきた。
昨年にも提言を取りまとめたが、
本年の骨太の方針を策定するにあたり、
これからの日本に必要な経済政策を、
若手議員の立場で、
日本の将来のために真剣に提言するものである。

この「真剣なる提言」
安倍総理や与党幹部の皆様方が
真摯に受け止めて頂けることを、
勉強会でお話差し上げた講師の立場からも、
そして、一国民としましても、
強く祈念申し上げたいと思います。

是非とも、本メルマガ読者の皆さんも、
この提言を、
そして、この提言をされている先生方を、
「手の届く範囲の中」でだけでも、
精一杯ご支援下さいますよう、
何卒、よろしく御願い申し上げます。

追伸1:
「表現者クライテリオンメルマガ」では、こうした財政政策を論ずるばかりでなく、それを推進するための思想的背景についての議論を一つ一つ積み重ねています。是非下記より「無料メルマガ」をご登録下さい!
http://www.mag2.com/m/0001682353.html

追伸2:
あわせて、雑誌「表現者クライテリオン」では「危機と対峙する」ための、財政政策の議論に加えて、それを織りなす思想的議論を徹底的に論じております。是非とも、ご購読下さい。
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【藤井聡】日本最強の提言書  〜「財政再建」のための、消費増税とPB目標の「撤回」を求める与党提言〜への8件のコメント

  1. たかゆき より

    無知は 罪

    小生はデフレ 緊縮財政政策により 恩恵を受ける職に就いております

    が、、、

    モノには限度があり このままでは とんでもないことになる という
    分別くらいは 持ち合わせており

    政治や経済など その辺のアホに任せておけば 十分という
    小生の過去の無知 愚昧な判断を 悔やむ今日この頃で ございます。。。

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  2. 吉岡正明 より

    日本の未来を考える勉強会の今回の提言書を、じっくり読みたいのですが、プリントアウトする方法を教えてください。

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  3. ぬこ より

    会計士五年連続一次試験も受からず、税理士試験一科目もかすりもしなかった僕にとって、税理士でもある安藤先生は希望の星ですね。
    生まれ持った知能って残酷ですな。
    この先、どう景気が良くなろうが自分には正直関係内ですけどね(笑)

    でも、日本の貧困の遠因を知った以上、英米には怒りが止まりませんよね。
    酒場で英国人から、デフレ不況を20年もし続けてヘラヘラしてる日本エリートと、そこから吸い上げる英米のエリートの思考の違いを滔々と説かれただけに、怒りは止まりませんけどね。

    ま、安藤先生みたいな人が潰されない様に、情報を知人に拡散するしかないですけどね。

    でも、よのなかの会計系の(現場)で飯喰ってる人達って、欧米の汚さを知ってますけどね。
    言わずに堪えてる人ばかりじゃないですよね。
    加担してるのが如何に多いか。
    エリートほどどうしようもない拝金体質ですからね。

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  4. 日本晴れ より

    今朝発表された1-3月期のGDPが発表されましたが
    実質名目ともにマイナスでした、しかも名目がよりマイナス幅が大きい完全なデフレ化した指標でした。
    やっぱり増税の影響が長引いてると思います、消費も住宅も設備投資も伸びてない、特に景気の6割占める消費が低迷してるのは14年度の消費税増税が未だに影響してるのは明白だと思います。この状況下で増税するなんてめちゃくちゃおかしいと思います。
    増税が無かったら名目で3%成長は普通にしてました

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  5. sin より

    素晴らしい提言ですが、全く聞かなくなった『国土強靭化』のように自民党支持者内にいる
    財政出動派を引き止めるだけの道具として利用されないといいですね。

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  6. 倩山 より

    日本の借金は1,000兆円あると報道されていますが、国有財産は、0円なのでしょうか?外国の国債も保有してますよね。現在の報道は1面しか見ていない。おかしいですね?何故か?我々国民は考える必要があります。”平和ボケ”にはなりたくないです。   追伸
    国の予算は複数年度予算とするべきです。単年度なので、年度末に不要な道路工事などが行われています。予算を使い切らないと次年度に削減されるから無駄使いになっている。使い切る公務員もつらいでしょう。

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  8. ななし より

    提言が受け入れられれば良いんですけど…。
    政府が大人しく人の話を聞くとは思えないんですよねえ…。

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