From 三橋貴明@ブログ
昨日、発表になった17年1-3月期の経済成長率が、とんでもない状況になっていました。
まずご理解いただきたいのは、経済成長率、すなわち実質GDPの成長率を計測することはできないという点です。
それに対し、名目GDPは計測できます。名目GDPは、例えば、国内の消費や投資の合計金額に純輸出を足すことで、金額的に統計を取ることができるのです。
もっとも、名目GDPは物価が上昇するだけで大きくなってしまうため、経済成長率を見る際には不適切です(需要の大きさは見えるのですが)。
というわけで、名目GDPから、これまた計測可能な物価上昇率(GDPデフレータ)を控除し、実質GDPの成長率を求めるのです。
●実質GDP=名目GDP÷GDPデフレータ
と、計算して算出するのが実質GDPでございます。
というわけで、物価が「下落」する状況では、名目GDPがマイナス成長になったとしても、実質GDPがプラス化するということはあり得ます。デフレ型経済成長とでも名付けましょうか。
『1~3月のGDP 5期連続でプラス
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170518/k10010985751000.html
ことし1月から3月までのGDP=国内総生産は、物価の変動を除いた実質の成長率が前の3か月と比べてプラス0.5%、年率に換算してプラス2.2%となりました。GDPがプラスとなるのは5期連続で、個人消費や輸出が全体を押し上げました。
内閣府が発表したことし1月から3月までのGDPの速報値は、物価の変動を除いた実質で前の3か月と比べてプラス0.5%となりました。(後略)』
2017年1-3月期の実質GDP成長率が、対前期比+0.5%。
それに対し、名目GDPは▲0.0%。GDPデフレータは、▲0.6%・・・・・。
お分かりでしょう?
1-3月期は、名目GDPが縮小し、物価上昇率が大幅なマイナスになった「ため」に、実質GDPがプラス化してしまったのです。
すなわち、デフレ型経済成長です。
ちなみに、GDPデフレータが▲0.6%と大幅マイナスになったのは、2012年4-6月期以来のことです。物価がアベノミクス開始以前に戻ってしまったことになります。
【日本の名目GDP、実質GDP、GDPデフレータの推移 】
http://mtdata.jp/data_56.html#Defla
もっとも、GDPデフレータのマイナス化は、16年から始まっています。消費税増税で、GDPデフレータが一時的にプラス化し、その効果がはげ落ち、日本経済の再デフレ化が始まったのが2016年というわけです。今回の結果が非常にまずいのは、まずは日本経済が「再デフレ化」していることが、ほぼ確定してしまった事です。
そして、二つ目は、実質GDPの計算方法を知らない(あるいは、知りたくない)政治家が、「日本経済は五期連続で成長している」と、日本の経済状況を完全に誤解してしまう可能性が高いことです。結果、まともなデフレ対策が打てなくなる。
何しろ、新聞の見出しは「1~3月のGDP +0.5% 5期連続でプラス」になるわけですから、「お! 日本経済は順調に成長しているんだ」と、誤解する人が増えても当たり前です。
とはいえ、現実には日本経済が再デフレ化し、名目GDPが減り、物価がそれ以上に減ったために「経済成長率がプラス化した」というのが現実なのです。
政府は日本国が「デフレ型経済成長」になっているという現実を認め、早急に新たなデフレ対策を打つ必要があります。
【三橋貴明】デフレ型経済成長への3件のコメント
2017年5月19日 11:27 AM
ホンマはデフレに戻ってるのにそれを隠すやなんて、それ、もはや犯罪の域に入ってると思うで!財務省!
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2017年5月26日 8:58 PM
この式、割る÷ではなくて、引く-では?
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2017年5月27日 5:21 PM
我が国日本のデフレは官僚とマスコミが操作的な情報を多用した結果作り出された心の病ではないでしょうか テレビや主要紙を捨てて「新」経世済民新聞を読みマインドコントロールから解放される人が増えるといいですね 経済成長の奴隷感満載の瑞穂の国の資本主義では疲れた人が増え続けるでしょう
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