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2015年1月14日

【三橋号外】凍り付くマネー

From 三橋貴明@ブログ http://ameblo.jp/takaakimitsuhashi/

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●月刊三橋最新号のテーマは「フランス経済」。

「ユーロという罠」に落ちた大国の選択とは?
フランスに今が分かれば、日本が見える!

https://www.youtube.com/watch?v=eQUSqYvie2s

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三橋経済塾第四期「経済時事」、開講しました。
http://www.mitsuhashi-keizaijuku.jp/

第一回目の講義は、1月18日(日)です。第一回目はケーススタディですが、二回目以降はゲスト講師の講義があります。
すでに決定しているゲスト講師の皆様は、以下の通りでございます。

第二回 ゲスト講師:中野剛志(評論家)
第三回 ゲスト講師:青木泰樹(東海大学非常勤講師)
第四回 ゲスト講師:藤井聡(京都大学大学院教授、内閣官房参与)
第五回 ゲスト講師:施 光恒(九州大学大学院比較社会文化研究院准教授)
第六回 ゲスト講師:室谷克実(評論家)
第七回 ゲスト講師:岩本沙弓(金融コンサルタント・経済評論家・大阪経済大学経営学部客員教授)
第十回 ゲスト講師:大石久和(国土技術研究センター国土政策研究所所長)
第十一回 ゲスト講師:柴山桂太(滋賀大学准教授)

三橋経済塾第四期「経済時事」への入塾は、こちら から。

政経電論に連載[三橋貴明が説く今さら聞けない経済学 ビジネスと「国民経済」」が掲載されました。
http://seikeidenron.jp/mitsuhashi/20150113_column_mitsuhashi.html

今回は、「ビジネス」と「経済」の差異の問題を取り上げてみました。優秀な経営者ほど、「経済」では間違った結論を出してしまうという、例の問題ですね。
「経営」は費用を削れば、利益が増えますが、「経済」は必ずしもそうではない。特に、デフレ期には。という問題です。

FLASH 1月20日号「韓国十大財閥 バカ令嬢、アホ息子の野放し行状」にインタビュー出演しています。
http://www.viewn.co.jp/magazine/detail/000000979801

本日はチャンネル桜「桜プロジェクト」に出演します。
http://www.ch-sakura.jp/programs/program-info.html?id=1520

さて、日本経済は、いよいよ「人類がかつて経験したことがない」カネ余り状態に突入しようとしています。というか、しました。

カネ余りとは、要するに「お金が借りられず、消費や投資に回らないという話になります。すなわち、需要不足です。

『長期金利 0.255%に 最低水準更新
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150113/k10014635421000.html
13日の東京債券市場は、原油価格の急速な下落を背景に世界経済の先行きに不透明感が出ていることから、比較的安全な資産とされる日本国債を買う動きが強まり、長期金利は0.255%まで低下し、過去最低の水準を更新しました。』

『5年債金利、過去最低の0%=マイナス金利も視野
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201501/2015011300412&g=eco
13日の東京債券市場で、新発5年物国債の流通利回り(金利)が0%に低下(債券価格は上昇)し、過去最低を更新した。既に、昨年末までに償還までの期間が1年以下の国庫短期証券(短期国債)や新発2年債の利回りはマイナス金利となっていた。(後略)』

『日本生命、一時払い終身保険料1〜2%上げ 2月から
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDF09H0R_Z00C15A1EE8000/
日本生命保険は9日、2月から貯蓄性の高い「一時払い終身保険」の保険料を約1〜2%引き上げると発表した。長期金利が低下し、国債の運用では十分な利回りを確保するのが難しくなっているためだ。歴史的な低金利は国債での運用が基本の生保業界にとって重荷になっている。このままの水準が続けば、他社も保険料上げで追随する可能性がある。(後略)』

「財政破綻が〜っ」
「プライマリーバランスの赤字が〜っ」
などと、識者と呼ばれる人々が叫び続けている我が国において、最も人気がある金融商品は何でしょうか? 株式? 先物? いえいえ。
答えは「国債」です。

という、バカバカしい状況になっているわけです。何しろ、五年満期の国債ですら、すでに「政府は金利を支払わなくてもいい」ほどに値段が急騰しているのです。(ゼロ金利でも担保として必要な金融機関が買うため)

現在の「世界最低金利国」の座は、長期金利0.21%のスイスと、0.255%の日本が、激しいデッドヒートを繰り広げています。何と、むなしい競争なのでしょう。
「どちらの国が、よりお金が借りられないか?」
の座を賭けて、日本とスイスが鍔迫り合いを演じているわけでございます。

上記記事にもある通り、国債のあまりの高騰(=国債金利の低下)に、日本生命がついにギブアップ。保険料の引き上げを決定しました。銀行でいえば、マイナス金利(預金者が金利を支払う)でございますね。

銀行は預金を、生保は保険料を「運用」する、つまりは誰かに貸し付け、金利を稼ぐことが商売です。金利収入が、彼らの「所得」になります。預金や保険料がどれだけ集まっても、それ自体が売り上げになるわけではないのでございます。

【2014年9月末時点(速報値) 日本国債所有者別内訳(総額は860.6兆円)】

http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_49.html#Kokusai

上記の通り、現在の日本はデフレ(カネが借りられない)に加え、日本銀行の国債保有が増えています。結果的に、市場から「国債が消える」現象が発生。

国債の需給バランスが「需要過多」に傾き、国債価格が上昇、つまりは国債金利が低下していっているわけです。市場は完全に「お金の借り手不足」あるいは「国債不足」の環境になっています。

それにも関わらず、政府は本日、国債の新規発行額が今年度より4兆円余り少ない36兆8600億円の来年度予算を閣議決定します。政府が新規発行国債を減らすとは、我が国の借り手不足に拍車をかけることになるわけです。

「借り手」の多くは「需要」です。(お金が金融経済に向かう場合は必ずしも需要になりませんが)需要が不足するデフレーションに苦しめられている日本において、政府が借り入れと需要を減らすというわけでございまして、今年の日本経済がデフレに舞い戻る確率がどんどん高まっていっています。

別に、難しい話ではありません。
「なぜ、国債金利が最低どころか、マイナス金利(短期国債)になってしまっているのか?」
「なぜ、生命保険の保険料が上がらざるを得ないのか?」
について、落ち着いて考えれば、誰でも「借り手不足」「国債不足」が原因であると分かるはずです。次は、
「なぜ、借り手不足なのか?」
に思考を巡らせれば、すぐに「需要が不足し、投資先がないから」という答えを導き出せます。解決策は、政府が需要を創出することです。

政府が需要を創出するために「新規発行国債」を拡大すれば、金融市場における極端な国債不足は解消に向かい、金利は「正常化」することになるでしょう。

普通に考えれば、誰でも理解できる解決策に背を向け、政府は「プライマリーバランス(基礎的財政収支)黒字化」と、見当違いの目標目がけて突っ走っています。これで、日本経済がデフレに舞い戻らなければ、そちらの方が不思議というものでございます。

政府は「国債不足」という現実を認め、国債発行増額と財政支出拡大という正しい方向に舵を切り直す必要があります。さもなければ、日本経済は再デフレ化し、総理お望みの「長期政権」とやらも、夢幻と終わるでしょう。

 

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