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2014年1月2日

【渡邉哲也】2014年のトレンド

From _渡邊哲也@経済評論家

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あけましておめでとうございます。

変化する社会構造 米国など先進国が社会主義化してゆく現在、そして、先進国と新興国との関係が大きく変化する一年となりそうです。

ソビエトが崩壊し、中国が改革開放路線を採り、冷戦構造は終わりました。共産主義と自由主義という経済実験は、自由主義の勝利に終わりました。そして、自由主義は拡大し、さらなる自由を求める新自由主義が生まれました。

しかし、サブプライム問題以降、新自由主義の象徴であった米国の投資銀行は自由を奪われ、FRBの監督下に入り、銀行もボルカー・ルールなど規制が強化される形となっています。また、格差の拡大が米国の社会問題となり、この解消のためのオバマケアなど保険制度改革も進んでいます。

すでに米国はマイノリティと言われるカラードが過半数を占めており、WASP(ホワイトアングロサクソンプロテスタント)は少数派になっています。民主主義というのは基本多数決であり、選挙がそれを決定づける仕組みです。

格差が拡大し、貧しい人の数が増えれば、自ずから貧しい人が望む政治が行われるようになります。ここにおいては富裕層が攻撃対象となり、社会主義的な政策が好まれるようになるわけです。

そして、内政を中心とした内向きの政策が中心となります。また、失業者対策として、保護主義的な貿易政策が取られるようになります。海外からの安価な産品の流入は雇用を奪うわけであり、国内雇用拡大のためには保護主義的にならざる得ないわけです。 このような情況は、欧州の先進国でも同様です。

そして、今年から米国では量的緩和の縮小が始まります。ここにおいても、米国の戦略転換が見て取れます。量的緩和を縮小すれば、当然、市場における資金量が減ります。しかし、海外に流出している部分を減らせば、国内の資金量は大きく変化しないわけです。穴の開いたバケツの穴を塞げば、水の量を減らしても水位が落ちないと言う理屈です。

実際に米国ではストレステストなどによるリスク区分で、国内債券や株式のリスクを軽くし、アジアなど新興国のリスクを非常に重くしています。つまり、銀行などは国内投資を増やし、新興国投資を減らさなければいけない状況に置かれているわけです

先進国と新興国の関係において、何故先進国が新興国に投資してきたかといえば、発展余地の少ない先進国に投資するよりも、少額で市場が大きく動き、発展余地の大きい新興国に投資したほうが利回りが良いからです。

そして、これを支えてきたのが金融であり、金融によりもたらされた利益が先進国の国内消費の原資にもなってきたわけです。確かに配分に差はありますが、投資活動をしない一般の人にも保険や年金、銀行などの金利という形で還元されてきた部分があります。

しかし、サブプライム以降の金融弱体化は新興国からの利益を吸い取るポンプ機能を失わせました。これにより先進国にとっての新興国発展のメリットは大きく失われつつあるわけです。そして、米国の出口戦略はこれを本格化させるといえると思います。

昨年、日本の株式のパフォーマンスは世界最高水準でした。そして、多くの先進国で高いパフォーマンスが記録されました。それに対して、新興国の代表格といえる中国のパフォーマンスは過去最低であり、マイナスとなっています。これが昨年の世界の評価であったわけです。

この傾向は今年に更に強まるといえると思います。今年もよろしくお願いします。

PS
韓国の格差社会の正体とは?
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<渡邊哲也からのお知らせ>

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【渡邉哲也】2014年のトレンドへの2件のコメント

  1. ゆう より

    藤原正彦さんの”管見妄語 グローバル化の憂鬱”という本を読んだんですけど、三橋さん達と同じような意見を持った方でしたね。英語の公用語化やTOEFLの導入は愚の骨頂だという事が書かれてました。 母国語を大事にしない国は滅びるというのは事実なんでしょうね。

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  2. ドクラ・モグラ より

     バケツの穴…溶接工免許持ってないもんなぁ。ガムテープじゃ駄目?「てめぇみたいな横書きアマちゃんは呼んじゃいねぇっ。既に縦書き熟練工ば呼んでるんだよぉーっ!」 お呼びでない? こりゃまた失礼しましたぁーっ。(あーあ、またも無駄話)

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