【島倉原】デフレ脱却の道筋

From 島倉 原(しまくら はじめ)@評論家

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【解説】

「人口減少で日本経済は本当に衰退するのか?」

データに基づいて三橋貴明が解説
↓↓
https://www.youtube.com/watch?v=IPXsFyPE7uM

富とはお金のことだと思っていませんか・・・?
https://www.youtube.com/watch?v=PnqVW9dgeMA

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おはようございます。
少々、というより大分遅くなりましたが、本年初めての寄稿ということで、まずは明けましておめでとうございます。

さて、日本の代表的な株価指数である日経平均株価もTOPIXも、年明け以降6営業日連続で下落しました。
日本経済新聞によれば、年明けから5営業日以上連続で下落したのは戦後初めてだそうです。
http://www.nikkei.com/article/DGKKASDE09H0E_Z00C16A1PE8000/

ということは、リーマン・ショックを超える金融危機が到来中?
「ゆえに、消費税増税は取りやめ」ということになれば、文字通りの快挙(?)と言って良いでしょう(笑)。

それにつけても、岩田日銀副総裁の強気発言は株式市場にとって不吉なシグナル、と述べた大晦日の寄稿は、我ながら絶妙の(?)タイミングとなりました(少なくとも短期的には)。
もちろん、こうした事態を予測していたわけではなく、シグナル論にしても単なるジョークに過ぎません。
とはいえ、せっかくそこまで述べたのだから…ということで、株式市場の今後を展望すべく、市場の需給データに基づく「真面目な」分析も行ってみました。
それが株式市場初日の前日に発表したこちらの論稿、タイトルは『岩田日銀副総裁の不吉なジンクス?』です。
果たして分析の結果やいかに…ご興味のある方は、是非ご覧になってみて下さい。
http://foomii.com/00092/2016010300000030663

さて、上記の日経新聞記事にもありましたが、安倍首相の1月4日の年頭記者会見における「もはやデフレではない」が「デフレ脱却というところまで来ていない」という一軒矛盾する発言が、波紋を広げているようです。
上記の記事によれば、

『「デフレではない」と「デフレから脱却」は実は異なる。政府はかつてデフレ脱却について「物価が持続的に下落する状況を脱し、再びそうした状況に戻る見込みがない」と定義している。「戻る見込みがない」が両者の分かれ目だ。』
http://www.nikkei.com/article/DGKKASDE09H0E_Z00C16A1PE8000/

とのこと。つまり、「少なくとも現時点は物価が持続的に下落する状況ではないが、再びそうした状況に戻る可能性がないとまでは言い切れない」ということのようです。
なるほど、わかりやすいか、あるいは適切な表現かどうかは別として、一応それなりの理屈はあるようです。

では実際のところ、現時点の状況はどうなっているのでしょう。
昨年12月8日に発表された最新のGDP統計(1994年1-3月期~2015年7-9月期 2次速報値)を確認してみましょう。

消費税増税によるかさ上げ効果がなくなった2015年度以降、すなわち2015年4-6月期と同7-9月期の四半期GDPデフレーターの前年同期比は、それぞれプラス1.5%、プラス1.8%となっています。
これだけ見れば「もはやデフレではない」と言っても問題なさそうに思えます。

ところが、家計消費を中心とした「民間最終消費支出デフレーター」、そして企業の設備投資なども含めた「国内需要デフレーター」について同じように見てみると、前者はそれぞれマイナス0.1%、マイナス0.2%、後者もそれぞれ0%、0%となっています。
こちらの結果に基づけば、むしろ現時点もデフレ状況にあると考えるのが妥当でしょう。
https://twitter.com/sima9ra/status/686141242711801856
http://on.fb.me/1OjTomE

こうした乖離が生じるのは、GDPデフレーターは「大幅な円安による輸出デフレーターの上昇」「原油をはじめとした国際商品価格の下落による輸入デフレーターの下落(定義上、GDPデフレーターの上昇要因)」の2つの要因によって押し上げられているからです。
ところが、こうした外的要因によるGDPデフレーターの押上げは、世界経済の不安定化による低金利通貨への回帰が短期的な円高ドル安につながる可能性や(FRBの利上げが始まっている一方で日銀の異次元金融緩和が続いていること自体は円安ドル高要因ですが)、国際商品価格が既に相当下落していることを考えれば、今後はさほど望めない可能性があります。
そうした影響がさらに国内経済にも及べば、「デフレの顕在化」すなわちGDPデフレーターのマイナス転落という形で、三者の乖離が縮小することにもなりかねません。

ここ最近のグローバル化に関する議論でも述べてきたように、経済運営の成否は基本的に国内経済の状況に基づいて判断されるべきであり、その意味では「もはやデフレではない」という状況ではありません。
ましてや、1月8日の衆院予算委員会の首相発言とは裏腹に、「デフレ脱却に向けて着実に進みつつある」とは到底言えないでしょう。
下記拙著のタイトルが示す通り、あるいは以前『アベノミクスの失敗』という下記拙稿でも述べたとおり、積極財政を伴わないアベノミクスは、そもそもデフレ脱却の処方箋たりえていないのです。
http://amzn.to/1HF6UyO
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-108.html

ということで本年も引き続き、積極財政をはじめとした適切な経済政策のアピールにつながるような寄稿を続けていきたいと思います。
本年もご愛読のほど、よろしくお願いいたします。

〈島倉原からのお知らせ〉
(1)本年も積極財政の重要性をしつこくアピールすべく、

「日本経済の停滞は、金融緩和の不足ではなく緊縮財政と共に始まっている」
https://twitter.com/sima9ra/status/669165227120824320
http://on.fb.me/1LxuFJ6
「経済成長率が高い国ほど、財政支出を積極的に拡大している」
https://twitter.com/sima9ra/status/669166143022612480
http://on.fb.me/1Nbx4P9

ことを端的に示したこれらのグラフの共有、拡散にご協力いただければ幸いです。

(2)サウジアラビアとイランの断交、北朝鮮の水爆実験報道など、国際情勢はますます不安定化しています。
これらの背後にある構造について、経済の長期サイクルに加えて比較文明論の観点も交え、『国際情勢の比較文明論的考察』というタイトルで考察してみました。
http://foomii.com/00092/2016011001213730796
前回ご紹介した『グローバリズムの非合理性』と併せ、ご参考まで。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-133.html

↓↓発行者より↓↓

【解説】

「人口減少で日本経済は本当に衰退するのか?」

データに基づいて三橋貴明が解説
↓↓
https://www.youtube.com/watch?v=IPXsFyPE7uM

富とはお金のことだと思っていませんか・・・?
https://www.youtube.com/watch?v=PnqVW9dgeMA

【島倉原】グローバリズムの非合理性

From 島倉 原(しまくら はじめ)@評論家

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2015年、世界はまさに激動の年となった。中東問題はフランス・パリでの同時多発テロやトルコ軍機によるロシア軍機撃墜にまで至った。また、南沙諸島では中国による人口島の埋め立てに対し、アメリカが自由航行権を主張すべく、米軍機を飛行させた。ウクライナ問題は解決の糸口さえ見えない。さらには、シリア情勢を受け、EU諸国へ大量の難民が流入している。

こうした世界情勢の中、各国経済はこぞって低調。なかでも、これまで世界経済牽引の一翼を担っていたように見えた中国経済が、著しく失速している。2016年の世界はどうなるのか。そして、日本にはどのような影響があるのか。

三橋貴明が2016年の世界と日本を語る、、、

『月刊三橋』最新号はこちら
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_mag.php

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おはようございます。
「奇しくも元旦の執筆を担当することになり、…」というのが私にとって本年の書き初めでしたが、図らずも今回、大晦日の執筆までも担当することとなりました。
また、本年は私にとって、通年で執筆に参加した最初の年でもあります。

というわけで今回のお題に入る前に、この1年間を少々振り返ってみたいと思います。
新年号では、前月の総選挙で繰り広げられた雇用環境の改善を巡る与野党の議論を取り上げて、「アベノミクスで雇用環境は改善している」という与党の議論は不当なのではないか、と述べました。
その際、「今後の状況を悲観させる不吉なシグナル」としてご紹介したのが、「異次元金融緩和が雇用環境の改善をもたらした」と主張する岩田日銀副総裁のこちらの論稿でした。
http://www.nikkei.com/article/DGKKZO81271810U4A221C1KE8000/

その後、「失業率が低下し、雇用環境は著しく改善している」「家計消費は改善の兆しが見られない」という一見相反する政府発表やマスコミ報道が続いたのが、この1年であったように思います。
こうした矛盾する状況を先月改めて読み解いたのがこちら、『消費の改善につながらない雇用の実態』です。
残念ながら「不吉なシグナル」は、少なくとも「当たらずと言えども遠からず」であったようです。
http://foomii.com/00092/2015112901194730050

岩田副総裁といえば、今年5月27日に行った講演で、「現在の株式市場に過度の強気化は見られず、バブルではない」という趣旨の発言をされたようです。
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-NOZMPH6K50XZ01.html
よもやとは思うのですが、過去のジンクス(?)に従えば、これもまた、そのあたりが中期的な株価の天井であったことを示す不吉なシグナルだった、というのが来年の今頃には判明している…かもしれません(笑)。
http://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/chart/?code=998407.O

今年は、異次元金融緩和が掲げていた「2年程度で2%のインフレ率目標を達成する」というコミットメント(約束)が果たされなかった年でもありました。
そんな中、読者の皆様も含めた本メルマガ関係者の多大なご支援のもと、岩田副総裁に代表される「リフレ派」の欺瞞を徹底的に検証し、積極財政の重要性を訴える拙著『積極財政宣言:なぜ、アベノミクスでは豊かになれないのか』を刊行することができました。
金融緩和に偏り、緊縮財政が継続される政策の歪みを正す論拠として、一人でも多くの方々に活用されることを願ってやみません。
http://amzn.to/1HF6UyO

また、本書をご覧になる機会のない皆様も、積極財政の重要性、すなわち、

「日本経済の停滞は、金融緩和の不足ではなく緊縮財政と共に始まっている」
https://twitter.com/sima9ra/status/669165227120824320
http://on.fb.me/1LxuFJ6
「経済成長率が高い国ほど、財政支出を積極的に拡大している」
https://twitter.com/sima9ra/status/669166143022612480
http://on.fb.me/1Nbx4P9

ことを示した上記グラフの共有、拡散に引き続きご協力いただければ幸いです。

さて、政策の歪みといえば、TPPの大筋合意に代表されるグローバリズム、新自由主義的傾向がより一層強まったのもこの1年。
というわけで、ようやく本日のお題にたどり着きました。

グローバリズムは経済政策として本来目指すべき「国内経済の活性化」と矛盾するし、国際紛争のリスクも高める、というのがこれまで述べてきた議論です。
加えて今回着目したのは、仮にグローバル化を前提としても、政策原理としてのグローバリズムが、日本国民のみならず、日本企業にとっても果たして合理的な選択肢と言えるのだろうか、という論点。
それについて経営学や比較文明論の見地も交えてまとめた論稿がこちら、『グローバリズムの非合理性』です。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-133.html

世界の貿易統計を踏まえれば、国際貿易の存在感が高まるグローバル化が進展しているのは紛れもない事実。
しかるにその実態は、「グローバル化」という言葉が想起させる「全世界の一体化」ではなく、「地域内経済活動の活発化」。
そんな状況だからこそ、一国で1つの文明圏、ひいては巨大な地域経済圏を構成する日本としては、国内経済活動の活性化に努めるのが、企業にとってすら合理的な選択といえるのではないか。
そんな議論を、裏づけとなりうるデータや学問的知見も紹介しつつ展開しています。

最後に、来年の展望という意味では、新興国経済のリスクを中心に昨年来述べてきたグローバル経済の動向も、引き続き要注目でしょう。
ロシア、ブラジル、そして中国と、新興国経済の危うさはどうやら現実のものとなったようですが、そんな中、先進国、そして世界の中心的存在であるアメリカの中央銀行FRBが、先々週利上げを実施しました。
そうした動きとアメリカの実体経済、そして通貨や株価とはどのように結び付くのか…景気循環論の観点から考察したのがこちら、『FRBの利上げと金融循環』『実体経済指標から見たアメリカ経済と株価の行方』です。
http://foomii.com/00092/2015122000100030425
http://foomii.com/00092/2015122700000030545

改めましてこの1年、ご愛読いただきありがとうございました。
読者の皆様も、どうぞ良いお年を。

↓↓発行者より↓↓

2015年、世界はまさに激動の年となった。中東問題はフランス・パリでの同時多発テロやトルコ軍機によるロシア軍機撃墜にまで至った。また、南沙諸島では中国による人口島の埋め立てに対し、アメリカが自由航行権を主張すべく、米軍機を飛行させた。ウクライナ問題は解決の糸口さえ見えない。さらには、シリア情勢を受け、EU諸国へ大量の難民が流入している。

こうした世界情勢の中、各国経済はこぞって低調。なかでも、これまで世界経済牽引の一翼を担っていたように見えた中国経済が、著しく失速している。2016年の世界はどうなるのか。そして、日本にはどのような影響があるのか。

三橋貴明が2016年の世界と日本を語る、、、

『月刊三橋』最新号はこちら
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_mag.php

【島倉原】EUの日本化

From 島倉 原(しまくら はじめ)@評論家

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【解説】
前代未聞!? 黒田日銀の転がる目標とは?
https://youtu.be/0YFk1KbdpQA

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読者の皆様はご存知かと思いますが、私は『経済とは経世済民なり~正しい政策とは何か』というタイトルでブログを執筆しています。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/

その記事をネタにすることが多いので、本メルマガに寄稿した直後にはブログへのアクセス数が急増するのが常なのですが、先週、そうしたイベントがないにもかかわらず、アクセス数が急増したことがありました。
調べてみると、前回寄稿時にご紹介した日米英独仏の19世紀以来の貿易依存度を示すこちらのグラフ
https://twitter.com/sima9ra/status/669174796727377921
http://on.fb.me/1PM6WN1

を藤井聡さんにフェイスブック上でご紹介いただいたことが、そのきっかけとなったようです。
http://on.fb.me/1IzJwrP

上記の藤井さんの論評の中に「ドイツ帝国がEUにほんとにできるなら,EUの貿易依存度は興味深いですね」というコメントがあり、私自身も興味を引かれたので、EU関連の統計を少々調べてみました。
そうしたところ、EUを一つの経済圏と見たときの「貿易依存度」についても実は興味深いデータが得られたのですが、残念ながらスッキリ解釈してまとめるには現時点の私が力量不足のところもあり、その点についてはまたの機会としたいと思います。

というわけで今回は、以前ご紹介した拙稿『「貿易依存度」から考える経済政策とTPP』でも述べた、
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-118.html

「GDP=国内取引額+輸出額」

という関係を使って、EU経済の現状について述べてみたいと思います。

上記「国内取引額」は一般的な経済用語ではなく、ここでは「国内で生産されて国内で支出(消費または投資)に充てられた付加価値」という意味で用いています。
他方で、「外国で生産されて国内で支出に充てられた付加価値」はご存知のとおり「輸入」であり、両者を合わせると「国内における消費または投資の合計」となります。
したがって、「支出の総合計」としてのGDPの定義により、

GDP=国内消費または投資の合計+輸出-輸入
=(国内取引額+輸入)+輸出-輸入
=国内取引額+輸出

言い換えれば、

「国内取引額=GDP-輸出」

という関係が成立します。

そして、GDP統計からEUあるいはユーロ圏参加各国の名目国内取引額合計を算出し、その推移を示したのがこちらのグラフです。
比較対象である名目GDP合計も含め、2007年の値を100として指数化しています。
https://twitter.com/sima9ra/status/676820575851954178
http://on.fb.me/1P5a3fW

2007年といえばアメリカの住宅バブルがピークの時期で、それ以降のEUあるいはユーロ圏の名目GDPは、年率1%を切る低レベルとはいえ、一応成長を続けています。
ところが、「国内で必要なものを国内で作る」という最も本来的な経済活動の規模を示す名目国内取引額は、慢性的なマイナス成長に陥っているのです。
しかもこの間、リーマン・ショック直後の2009年を除けばEUあるいはユーロ圏のGDPデフレーターはプラスの伸びを示していますから、実質ベースで見ればより深刻な状況というわけです。
(参考までに、同時期のアメリカは名目GDPで年率2.4%、名目国内取引額で同2.0%の成長を遂げています)

こんなことを書くと、「島倉は国際貿易の意義を否定する鎖国論者か!!」という声も出てくるかもしれませんが、そういうことではありません。
国内で生じた需要は、文化的にも共通の基盤を持つ国内の経済活動によって満たされるのが最も自然なあり方ですし、その上で国際貿易はあくまで相互補完的に活用するのが国際社会にとっても平和と安定をもたらすことは、前回も述べたとおりです。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-126.html

なお、EUあるいはユーロ圏を1つの経済単位とみなした「域内取引額」については、残念ながら今回は確認できていません。
しかしながら、確認できた範囲のデータからは「国内取引額とGDPの中間」という、やはり低レベルのパフォーマンスであると推定されます。

とはいえ、ドイツとギリシャの状況を対比すれば明らかなように、EU経済の停滞は各国一様に生じているわけではありません。
こうした場合、単一国家であれば通貨発行権を持つ中央政府主導で、地域内の格差を補いながらの財政支出拡大、すなわち積極財政によって経済を支えるべきところですが、そうした機能が果たされないままに、全体としてのEU経済が停滞しています。
名目GDPの推移こそやや異なるものの、こうした状況は下記の図でも示されるとおり、緊縮財政によって1998年以降経済の低迷が続いている日本のそれと重なります。
https://twitter.com/sima9ra/status/676821887742173184
http://on.fb.me/1UuJseo

「大胆な金融緩和によるデフレ脱却」を掲げたアベノミクス以降も、日本の名目国内取引額は低迷しています。
しかも恐ろしいことに、少なくとも2%の「消費税増税によるかさ上げ効果」が生じているはずの2014年度ですら、名目国内取引額は縮小しているのです。
GDPと国内取引額の乖離具合が、2001年から2006年にかけての小泉政権時のそれに似ているように見えるのが、気のせいであれば良いのですが…。

なお、本図では割愛していますが、実質ベースの国内取引額は、2013年度こそ補正予算と駆け込み需要の効果で増加したものの、2014年度はアベノミクス開始前の2012年度を下回る結果となっています。
これもまた、消費税増税すなわち緊縮財政の強烈な効果を示すものに他なりません。

日本経済が停滞し、国際情勢が不安定化している今こそ、積極財政を柱とした政策ビジョンが必要なはずです。
このことにご賛同いただける方は是非、

「日本経済の停滞は、金融緩和の不足ではなく緊縮財政と共に始まっている」
https://twitter.com/sima9ra/status/669165227120824320
http://on.fb.me/1LxuFJ6
「経済成長率が高い国ほど、財政支出を積極的に拡大している」
https://twitter.com/sima9ra/status/669166143022612480
http://on.fb.me/1Nbx4P9

ことを示した上記グラフの拡散にご協力いただければ幸いです。

〈島倉原からのお知らせ〉
「積極財政を柱とした政策ビジョン」を包括的に論じた一冊です。
http://amzn.to/1HF6UyO

金融市場が再度不安定化している今日この頃、その渦中にある人民元とユーロについて、2回に分けて論じてみました。こちらも是非ご活用ください。
http://foomii.com/00092/2015120602071130182
http://foomii.com/00092/2015121301480330305

3カ月前のものになりますが、本稿が出る頃には結果が出ているであろう、アメリカの利上げについての論稿です。
http://foomii.com/00092/2015091301000028649

↓↓発行者より↓↓

【YouTube】
三橋貴明が自らの目で確かめた中国”鬼城”の実態とは?
https://youtu.be/YkvY94zM_yc?t=4m16s

TPPは日本の植民地化を進めるのか・・・?
その答えはこちら
https://youtu.be/ntQpHSDoyjY

【島倉原】グローバリズムはいつか来た道?

From 島倉 原(しまくら はじめ)@評論家

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【YouTube】
三橋貴明が自らの目で確かめた中国”鬼城”の実態とは?
https://youtu.be/YkvY94zM_yc?t=4m16s

TPP日本の植民地化を進めるのか・・・?
その答えはこちら
https://youtu.be/ntQpHSDoyjY

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前々回、拙稿『「貿易依存度」から考える経済政策とTPP』を話題として取り上げました。
これは、あたかもグローバル化への対応度を示すものとして、好ましいかのように議論されがちな「貿易依存度(=輸出入の合計額÷GDP)の上昇」が、
むしろ国内の経済運営が上手くいっていない状況を示すものですらある(いまだ続いている日本の「失われた20年」がその典型)、という内容です。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-118.html

本メルマガの読者なら多くの方々がご存知かもしれませんが、現代に負けず劣らず、経済のグローバル化が進んだ時期がありました。
19世紀後半から第1次世界大戦直前までのこの時期は、「第1次グローバル化時代」とも呼ばれています。

ではこの第1次グローバル化時代、あるいはその前後の貿易依存度はどうなっていたのでしょう?
というわけで様々な統計書をひっくり返し、日・米・英・独・仏の5カ国について、最大1820年まで貿易依存度の推移をさかのぼってみたのが、こちらのグラフです。
http://on.fb.me/1PM6WN1
https://twitter.com/sima9ra/status/669174796727377921

残念ながら、1959年以前の「世界全体の貿易依存度」を示すデータは発見できておりません。
さはさりながら、19世紀の覇権国であったイギリスなどの貿易依存度の推移を見ると、
第1次グローバル化時代が終焉した第1次世界大戦のあたりが転換点になっています。

すなわち、世界全体も含めて、「貿易依存度=グローバル化の指標」という構図は19世紀当時から成り立っていたと言えそうです。
そうした想定と、上記論稿で述べた「貿易依存度の上昇とは定義上、国内で完結する経済活動よりも国際的な経済活動の成長率が高いという、
どちらかと言えば国民にとっては不幸な状況を意味するものでしかない」という知見も踏まえて上記グラフも含めた各種データの解釈を試み、
様々な歴史の教訓を引き出してみたのがこちらの論稿、題して『「貿易依存度」から見た世界史』です。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-126.html

現代のグローバリズムが新自由主義なら、19世紀のグローバリズムは帝国主義で、その行きついた先が2つの世界大戦。
現代のグローバリズムと一線を画して高度成長を達成したのが1990年代前半までの日本なら、
19世紀のグローバリズムと一線を画して着実に国力を蓄えていたのが、意外や意外、
現代のグローバリズムの旗手であるアメリカ(その後の覇権国交代の史実からすれば、何ら意外ではないかもしれませんが)。
かのケインズが『一般理論』で行った提言にも通じる、
「(積極財政に基づいた)『非グローバリズム=内需拡大路線』こそが繁栄と平和への道」という一貫した歴史の教訓を、
こうしたデータから読み取ることができそうです。

では、戦前の日本はどうだったのでしょうか。
実は当時の貿易依存度の推移から、日本が第1次グローバル化時代はいうまでもなく、
その終焉後もなおグローバリズム路線を突っ走っていたことが読み取れます。

それはすなわち、満州事変以降の対中戦争、そしてその後の対米戦争も、
自らのグローバリズム路線が招いた側面が強いことを裏づけるものです。

日本人としてあまり愉快な結論ではないかもしれませんし、
その果ての総力戦体制が戦後の非グローバリズム路線につながっている側面もあったりしてややこしいのですが、
それもまた歴史の教訓として真正面から受け止め、正当な評価をすべきではないかと思います。

なお、フランスのテロなどで中東情勢が一段ときな臭くなっている昨今の状況なども踏まえ、
こうしたグローバル化に関する知見と共に経済の長期サイクルの観点も交え、今後の世界情勢について別途展望してみました。
題して、『現在はどのような歴史的局面にあるのか』。
ご興味のある方はこちらもご覧になってみて下さい。
http://foomii.com/00092/2015112200245129921

では翻って、現代の日本はどういった状況にあるのでしょう。
国内経済の建て直しとなるべき積極財政はそっちのけで、グローバリズム路線がますます強まっていることは、
本メルマガでも折に触れて述べられているとおりです。
そして、「アベノミクスは上手くいっている」と強弁し、現行路線を推し進めるためでしょうか、実態から目を背けた言説が後を絶ちません。
先週の家計調査、労働力調査という2つの統計の結果をめぐる政府やマスコミの反応も、そうしたトレンドを象徴しているかのようでした。

家計調査については本メルマガでも三橋貴明さんが取り上げておられますが、2人以上世帯の実質消費が前年比マイナス2.4%と、
日本経済の決して順調とは言えない状況を示しています。

ところが、三橋さんも紹介されているように、「良い状況が整いながら、いまひとつ将来に対する消費者の自信が持てないところ」というのが甘利経財相の見方。
消費の不振は消費税増税で国民の実質所得が減った当然の結果、という三橋さんの見方とはまるで対照的です。
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2015/11/28/mitsuhashi-323/
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFL27HBX_X21C15A1000000/

そもそも甘利大臣が言われる「良い状況」とは何か。
恐らくは、上記の記事でも「改善」と評されている「完全失業率の低下」を指すものと思われます。
下記の記事によれば、人手不足などを背景に20年3カ月ぶり、すなわち長期デフレ不況以前の水準まで低下しています。
http://www.nikkei.com/article/DGXKASFS27H14_X21C15A1MM0000/

この完全失業率、労働力調査で測定される完全失業者数を分子、労働力人口を分母として算出される指標です。
完全失業者の比率が減っているのだから良い状況に決まっている、なのにどういうわけか…というのが甘利大臣の言わんとするところでしょう。

ところが!!
前回、「『失業率の低下』は、『失業者が就職活動をあきらめた』という後ろ向きな要因によっても生じることがある」という事実を、
橋下・松井大阪府政の評価に関する議論に際して紹介しました。
実は、完全失業率の低下が必ずしも経済の改善を示すとは限らないパターンは、それ以外にもいくつか存在するのです。

さらに、上記の記事のように、現在の完全失業率を決して近くはない過去のそれと単純に比較することは、
景気認識に対する大いなる誤解をもたらしかねません。
これまた、社会の長期的な変化を踏まえれば、極めて常識的な議論のはずです。

こうした観点を取り入れて同じデータを適切に分析すれば、マスコミ報道や政府見解とは全く異なる日本経済の実態、
そして上記のような見解の相違が生じる理由が見えてきます。
では、今回の労働力調査の結果から経済の実態をどう読み解くべきなのか。
データの成り立ちにまでさかのぼり、詳しく解説したのがこちら、『消費の改善につながらない雇用の実態』になります。
http://foomii.com/00092/2015112901194730050

リーマン・ショック以降、世界各国でグローバリズムに対する疑問の声が高まり、一部では政治的な変化の兆候も見られます。
にもかかわらず日本政府は、相も変わらずグローバリズム路線を突き進もうとしているかのようです。
こうした現状が、「いつか来た道」ではないことを祈るばかりです。

〈島倉原からのお知らせ〉
非グローバリズム路線の柱でもある積極財政がなぜ日本に必要なのか。あまたのデータと主流派経済学に代わる世界観を提示しつつ、包括的に論じた一冊です。
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「島倉原の経済分析室」では、読者からの質問も随時受け付けています。経済・金融・社会に関するタイムリーな情報源として、是非ご活用ください。
http://foomii.com/00092

↓↓発行者より↓↓

【YouTube】
三橋貴明が自らの目で確かめた中国”鬼城”の実態とは?
https://youtu.be/YkvY94zM_yc?t=4m16s

TPP日本の植民地化を進めるのか・・・?
その答えはこちら
https://youtu.be/ntQpHSDoyjY

【島倉原】景気循環論から出てきた1つの仮説

From 島倉 原(しまくら はじめ)@評論家

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おはようございます。
案の定といいますか、2015年7-9月期GDPは2四半期連続のマイナス成長でした。
増加した民間消費も相変わらず消費税増税後の低空飛行レベルですし、こちらの記事で指摘した民間設備投資のマイナスが、過剰在庫の縮小と共にインパクトを強めています。
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2015/10/22/shimakura-35/
他方で、原油、金属、穀物などの国際商品相場の動向を示すCRB指数が先週末、新興国景気の弱さを反映して13年ぶりの安値をつけています。

そういえば、今週末はいよいよ大阪ダブル選挙ですね。
実は今回、火曜日の午前中までは取り立ててその件を話題にするつもりはありませんでした。
ところが、かの高橋洋一氏が、『データで読み解く橋下府政』『GDPは「橋下以後」がマシ』『失業率は橋下以後で大きく改善!』などと称する、「オヤ?」と思いたくなる論稿を現代ビジネス上で発表されました。
それを受けて、(高橋氏の言を借りれば)「その6、7割に反論する分析」を下記のとおり急遽まとめましたので、ご紹介しようと思って取り上げた次第です。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-123.html

分析結果のポイントは2つ。
GDPについては、「橋下府政前後で有意な差は見られない」というのがせいぜいのところに、「作成基準の異なる過去のGDP統計」を不自然に連結することによって、「橋下以後」を実態以上によく見せたグラフが作成されています。
失業率については、「失業率とは『就業者数の増加』という前向きな要因だけではなく、『失業者が就職活動をあきらめた』という後ろ向きな要因によっても低下(一般に『改善』と評価される状態)することがある」という事実に触れることなく、(どちらかと言えば後ろ向きな要因によって生じているのが実態の)「橋下以後の失業率の相対的な低下」だけがことさらに取り上げられています。
いずれも、自分の結論を導き出すための意図的な操作だとしたら、「詐欺」と指摘されても仕方がない内容です。

にもかかわらず、橋下大阪市長は「これが客観的な検証というものだろう」と称して、早速ツイッターで高橋氏の論稿を拡散しているようです。
「対抗してデマを『霧散』させよう!!」と思われた方には、拡散用として、「客観的な検証グラフ」付きのこちらのツイートをおススメしておきます。
https://twitter.com/sima9ra/status/666629481407213568

なお、あえて10割反論しなかったのは、「3、4割は正しい」と認めたからではありません。
そこまで踏み込んでこの手の詭弁に付き合い過ぎると精神衛生上良くない気がして、「まあ、これで十分だろう」と思った、それだけの理由です(笑)。
それにしても、こうしたことがあると、(高橋氏もそのスタッフの1人だった)小泉政権に象徴される「構造改革路線」の成果なるものが、同様な(詐欺的?)手法で粉飾されてまかり通っているところに、今の日本の経済や社会の不幸があるのだなあ、とつくづく思わざるをえません。

というわけで何の脈絡もなく、今回のお題は、ウォーレン・バフェットというアメリカ人の話題からスタートします。
バフェット氏はアメリカの投資持株会社バークシャー・ハザウェイの経営者で、同社を通じた株式投資によって一代で財を成し、雑誌「フォーブス」が毎年発表する世界長者番付の最新版で世界第3位にランクされている大富豪です。
http://forbesjapan.com/articles/detail/2488

バフェット氏の投資スタイルは、経営に優れ、長期的な成長も見込める会社の株式に対して、割安なタイミングで集中的に資金を投じるというもの。
しかも、短期的な利益を追わず、投資先の経営にほとんど口を出すこともなく、「永久」に近い長期間にわたって株式を保有し続けるのが原則です。
例えば、アメリカのダウ平均株価が1日で20%を超えて暴落した、1987年のブラック・マンデーの後に行ったコカコーラ株への投資などが有名です。
そのスタイルは、短期的な利益を追い求め、時として強引あるいは不公正な手法を用いる「ウォール街の住人」や「アクティビスト投資家(かつての「村上ファンド」などなど)」のそれとは対照的で、かのケインズが実践したスタイルに通じるとも言われています。
http://amzn.to/1H22V43
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私自身、真似することはなかなか難しいものの、投資家のみならずビジネスマンとしてのバフェット氏の言動に対して、十数年来敬意を払いつつ注目してきました。
残念なことにバフェット氏自身の著書は存在しないものの、バークシャー・ハザウェイの年次報告書に掲載される株主宛てメッセージ(したがって文章自体はバフェット氏によるもの)を編集したもの、あるいは他者の手になる業績解説本や伝記などは存在します。
無条件に全てを礼賛するつもりはありませんが、株式投資に縁のない方にとっても、「アメリカ型資本主義の真っ当な側面」に触れるという意味で、少なからず参考になるのではないかと思います。
http://amzn.to/1losgv8
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そのバフェット氏が2011年以降、日本でもおなじみの大手IT企業であるIBMの株式に対して多額の投資を行っています。
「『理解できない事業には投資しない』というポリシーのもとで長年避けてきたハイテク企業向けの投資である」「絶妙なタイミングでの投資実行に定評のあったバフェット氏が4年たった今も含み損を抱えている」という2点で意外といえば意外なものです。
私自身も関心を持ち、先月には『ウォーレン・バフェットはなぜIBM株を買い続けるのか』という論稿を執筆し、バフェット氏のIBM株投資の合理性について考察してみました。
http://foomii.com/00092/2015102500000029405

その後もIBMの業績あるいはバフェット氏のIBM株投資に関する、総じてネガティブな報道が続いています。
それらを眺めているうちに、ある種の既視感、いわゆるデジャブに襲われました。
そうして今週執筆したのが、『ウォーレン・バフェットをめぐる既視感と景気循環論』という論稿です。
http://foomii.com/00092/2015111500100029792

この記事はタイトルにもあるとおり、バフェット氏のIBM株投資をめぐる動向を単なる一投資家のエピソードとして捉えるのではなく、「内生的景気循環論」という見地からマクロ経済的な現象として分析したものです。
そこから導き出されるのは、

「1990年代末のITバブルに似た現象が、そう遠くない将来に起こることが予想される」

という1つの仮説です。
ここでの「そう遠くない将来」の意味はさしあたり、「概ね3年以内のある時期」としておきます。
「より具体的な発生時期はいつ頃か」「なぜそういった仮説が導き出されるのか」「どういったプロセスを経て発生するのか」などに関心をお持ちの方は、是非上記の記事をご覧ください。

人民元切り下げから先週のフランスでのテロ勃発など、世界の経済や株式市場が不安定化している中、こうした楽観的にも見える仮説には、多くの方が違和感を覚えるかもしれません。
あるいは、私が昨年来唱えてきた「新たな新興国危機の到来リスク」と矛盾するのでは・・・という印象を持たれる方もおられるかもしれません(実際のところは、本稿も上記論稿も「両仮説は矛盾しない」という前提で執筆しています)。

もちろん、今回述べたことは内生的景気循環論から導き出した、あくまでも1つの仮説です。
しかも、仮説とはいえ実現しなかった場合のことも考えれば、こうした形で公言することは、一個人としてあまり得策ではないような気もします。
さはさりながら、「内生的景気循環論」という非主流派経済理論の実験として、読者の皆様には是非その「証人」になっていただきたいと考え、ぼんやりとした表現ながらも今回こうした仮説をオープンにした次第です。
果たしてどうなりますことやら・・・。

〈島倉原からのお知らせ〉
「構造改革詐欺」にだまされないための武器として、内生的景気循環論に基づく経済政策論の方に関心をお持ちの方は、是非こちらをご覧ください。
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景気循環論からは離れ、フランスで勃発したテロが金融市場に与える影響にご関心がある方には、ひょっとするとこちらが参考になるかもしれません。
http://foomii.com/00092/2015110800100029665

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【島倉原】グローバリズムとツイッター

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【期間限定】

●中国バブルの実態と今後の行方、、、
●汚職追放が中国経済を失速させたカラクリとは?
●中国に進出した日本企業の末路はいかに?

「中国の読み方–地獄に引きずり込まれないために日本人が知るべきこと」
 が聞けるのは11/10(火)まで!!
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_mag.php

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おはようございます。
相も変わらず、涼しくなったり暖かくなったりの日々ですが、皆様いかがお過ごしでしょうか。

最近メールを開くたび、ソーシャルメディアであるツイッターからのメッセージを目にする機会が増えています。
私の過去のツイート(つぶやき)がリツイートすなわち拡散されたという内容で、主に2つのツイートが対象です。

1つ目は今年の5月2日、いわゆる「大阪都構想」の住民投票直前に行った、

「大阪都構想賛成派の高橋洋一氏は「大阪は都制でないため、社会インフラの整備が遅れて損をしている」と述べていますが、これは「1970年頃までの公共投資と経済成長の伸びは、共に大阪が東京を上回っていた」という事実と矛盾します。」
https://twitter.com/sima9ra/status/594486658017447937

というツイートで、100人以上の方々がリツイートされているようです。
有名人のツイートであれば、何てことない数なのでしょうが、私自身のものとしては恐らく過去に例がなく、しかも半年以上前のものが対象ということで、結構驚いているところです。
とはいえ、藤井聡さんが先週寄稿されたタイトルは、『大阪ダブル選の最大の争点は「都構想」。やはり「真実」の認識が必要です』というものでした。
http://www.mitsuhashitakaaki.net/2015/10/27/fujii-167/
そうした意識を多くの方々が共有し、半年前の議論が見直される過程の中で、私のツイートも掘り起こされたのかもしれません。

藤井さんは現在もご自身のサイトで積極的に情報発信されていますので、まずはそちらで「真実」を確認するのが適切でしょう。
http://satoshi-fujii.com/
さはさりながら、半年前にさかのぼり、そもそも「大阪都構想」なるものについてどのような議論が交わされていたのかを確認されたいのであれば、さまざまな論者の賛否両論を取りそろえた拙稿

『「大阪都構想」の賛否両論を比較する』
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-90.html

にも一見の価値はあるかもしれません。

ちなみに、同稿に関しては2015年4月29日に

「ブログ更新しました(タイトル:「大阪都構想」の賛否両論を比較する)。
「大阪都構想」賛成派・反対派両方の主な動画・文章コンテンツを対比しながら一覧にしていますので、判断が付きかねている方も含め、是非参考にしてください。」
https://twitter.com/sima9ra/status/593377667333771265

とツイートしている次第です。

ついでながら、2015年4月17日にツイートした

「「今の大阪に危機感は持っているけれども、今以上に状況を悪化させたくないから、大阪都構想には反対票を投じる」という選択肢は、当然ありえます。」
https://twitter.com/sima9ra/status/589023857790423040

という視点も、何気に重要なのではないかなあ、と思う今日この頃です。

さて、最近よくリツイートされている2つ目は、

「日本を含む29か国について、「財政支出を伸ばしている国ほど、経済成長率が高い」という明確な事実を示したグラフです。」
http://on.fb.me/1GFXgve

https://twitter.com/sima9ra/status/659028361314877440

というもので、こちらは先週10月27日に発信しています。

上記ツイートには、下記拙稿『「貿易依存度」から考える経済政策とTPP』へのリンクも貼られています。
これは、4週間前に「折に触れて発信していければ」と表明した、TPP・グローバリズム関連の議論の第一弾にあたります。
http://keiseisaimin4096.blog.fc2.com/blog-entry-118.html

「貿易依存度」とは、一国のGDPに対する貿易量(輸出入の合計額)の比率です。
例えば下記のコラムに典型的なのですが、どうも国内では、日本の同比率が世界全体に比べて低いことを「日本経済が閉鎖的である証拠」と捉え、「(貿易依存度が高い)シンガポールや韓国を見習ってグローバル化を推進せよ(それによって貿易依存度を高めよ)」という議論が少なからず横行してきたようです。
そうした議論は当然のごとく、「アジア太平洋の経済成長を取り込む」ことを狙ったTPP推進論にもつながります。
http://www.jcer.or.jp/column/kojima/index487.html

しかしながら、貿易依存度自体が経済の閉鎖性を示す指標ではないことは、上記拙稿でも示した、日本経済の長期的な推移からも確認できます。
それどころか定義上の帰結として、貿易依存度の上昇が強まるほど、国内の経済運営が上手く行っていない状況を示していると言うことすら可能です。
事実、日本経済に関しては、1990年代半ばを境にした貿易依存度のトレンドの変化は、まさしく緊縮財政への移行と軌を一にして生じています。

さらに、冷静に考えれば、貿易拡大そのものは輸出入が概ね相殺されるため、名目経済成長が停止して長期デフレに陥っている日本経済の問題解決にはほとんど貢献するものではありません。
上記グラフは以上の議論を展開する上記拙稿を補強したものですが、もともとは拙著『積極財政宣言』の出発点として作成したものです。
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ひるがえって上記のコラム、「日本は“貿易立国”を自任しているが、実態はどんどんかけ離れたものになっている。実像は「世界で最も貿易依存度が低い内向き経済」である。」と述べている時点で、「失われた20年のもとで貿易依存度は一貫して上昇トレンドにある」という事実と明らかに矛盾しています。
コラムニストの経歴を見ると、日本経済新聞の記者や論説委員を務めたマスコミ出身のエコノミストで、「国の借金」その他の財政問題をめぐる事実を無視したマスコミ報道とも通じるものがありそうです。
https://www.jcer.or.jp/center/staff/32.html

大阪維新の会によるカジノ推進の動きに象徴されるように、大阪都構想もTPPも、グローバリズムを前提として問題の解決を図ろうとするものです。
いずれも、国内経済活動の停滞、あるいはそれを引き起こしている緊縮財政が当然のように前提とされている点で、政策の方向性としては誤っていると言わざるを得ません。
レベルの違いこそあれ、本来行われるべきが「積極財政をテコとした、地域経済に根ざした問題の解決」であることも共通です。
そうしたことへの意識の高まりが、最近のリツイート数増加にも反映されているのかもしれません。

〈島倉原からのお知らせ〉
緊縮財政が様々な問題を引き起こしているという「真実」を認識できる一冊です。
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メルマガ「島倉原の経済分析室」、先週号と今週号のタイトルはそれぞれ下記のとおりです。
↓『ウォーレン・バフェットはなぜIBM株を買い続けるのか』
http://foomii.com/00092/2015102500000029405
↓『日本・タイ・中国の経営破たんをつなぐもの』
http://foomii.com/00092/2015110100300029521

↓↓発行者より↓↓

・・・中国経済は、高騰していた不動産価格、株価がともに大幅に下落し、バブル崩壊の苦境に直面している。この状況に対する解釈は二つに分かれている。

一つは「単なる景気後退」あるいは「投資主導の経済から消費主導の安定成長への過渡期」とする見方、もう一つは「メッキが剥がれた中国経済が崩壊を始めた」あるいは「経済のみならず、中国共産党の独裁体制崩壊の序章」などとする見方だ。

単なる景気後退なのか、それとも崩壊の序曲なのか? 日本への影響は? われわれは今後、どう対処していくべきなのか?

中国取材から帰国したばかりの三橋貴明が、自らの足で集めた最新の情報を元に、「中国の読み方」、そして「中国との付き合い方」について解説する。
(月刊三橋最新号「中国の読み方〜日本が地獄に引きずり込まれないために」)
http://www.keieikagakupub.com/sp/CPK_38NEWS_C_D_1980/index_mag.php

[映像]メディアが言わない不都合な真実
http://www.keieikagakupub.com/lp/mitsuhashi/38NEWS_1980_mag.php